日産リーフがバカ売れすると……電気自動車の普及に潜む不安要素3つ

急速充電器の前に行列ができる可能性は大きい

 モーター駆動の圧倒的なトルクと、騒音の元となるエンジンを持たないため、高い静粛性が魅力の電気自動車。当初は普及するのにはまだまだ時間がかかるという見方が大多数だったが、気がつけば日産リーフは2代目が登場し、フォルクスワーゲンもe-ゴルフを日本に投入。そしてアメリカのテスラモーターズは電気自動車に新たな価値を植え付けようとしている。電気自動車

 まだまだ絶対数は少ないものの、着実に台数を増やし続けている電気自動車。だが何かの拍子に爆発的に売れた場合、予想される不安要素を書き出してみた。

1)充電設備の不足

 現在、一般ユーザーが使用することができる充電スポットはおよそ28,500基。しかし、そのなかで急速充電器となると約7,000基と一気に数が少なくなってしまう。さらに急速充電器は1カ所に複数台設置されている場所は少なく、ユーザーが殺到してしまうと長い間充電待ちをしなければならなくなってしまう。

 現在でも週末の高速道路のパーキングエリアなどでは充電待ちをしている電気自動車の姿が見られるほどだから、これが爆発的に普及した場合、充電設備の設置が追いつくかどうかが不安と言える。

2)駆動用バッテリーの劣化

 携帯電話を長期間使用していると、だんだん電池の減りが早くなってきたと感じた経験はないだろうか? これはバッテリーが劣化したことで新品時の容量を確保できなくなり、満充電しても新品時の値まで充電できなくなるからなのだが、これは当然電気自動車にも起こりうる現象だ。

 新車で購入したユーザーにはある程度手厚い保証制度が用意されている。しかし今後電気自動車が普及した場合、中古市場に流れた電気自動車のバッテリー劣化に対する対策がなされなければ、電気自動車のトータルの使用期間はかなり短いものになってしまうだろう。ガソリンエンジン車が20年経っても元気に走り回っているのとは対照的に……。

3)バッテリーのリサイクル

 前述のようにバッテリーは劣化してしまうもの。そうなると最悪交換が必要となってくるが、問題なのは取り外した劣化したバッテリーの行き先だ。日産自動車は使用済のリチウムイオンバッテリーを回収、再製品化して販売を行っているが、爆発的普及が起こった際はこのサイクルがどうなるかが気になるところ。現在は主に災害用の蓄電池として再利用されているが、供給過多になる恐れもありそうだ。

 このように電気自動車が爆発的に普及した場合、考えられる不安要素は少なくない。しかし、電気自動車を否定しているわけではなく、冒頭にも説明したとおり純粋に自動車と考えたときに電気自動車ならではの魅力は非常に高い。それなのに、電気自動車=エコという図式を作り上げてしまった結果、逆にそれが足かせになってしまったのは残念だ。どちらが優れているかではなく、電気自動車には電気自動車の、内燃機関には内燃機関の良さがあるのである。


小鮒康一 KOBUNA KOICHI

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愛車
日産リーフ(2代目)/ユーノス ロードスター/マツダ・ロードスター(2代目) /ホンダS660/ホンダ・オデッセイ(初代)/ 日産パルサー(初代)
趣味
長距離ドライブ
好きな有名人
ザ・リーサルウェポンズ

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