なぜハイヒールで運転をしていけないのか?

ハイヒールに起因した事故も起こっている

 クルマを運転するときは、運転に適した格好や姿勢が要求される。道路交通法では、運転者及び使用者の義務として、「ハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作」することを挙げている(第4章 第70条)。

 ハイヒールなど運転に適さない履物でクルマを運転することは、このルールに抵触する。ただ上記の法律には、具体的にハイヒールやサンダルで運転することを禁止するとは書かれていないので、本当に交通違反なのかと疑問になるかもしれないが、都道府県の公安委員会遵守事項では明確に違反としているところが多い。

危険運転

 たとえば、宮崎県道路交通法施行細則には、「げた、スリッパ、つっかけ、ハイヒールその他運転操作を妨げるおそれのある履物を履き、又は運転操作を妨げるような方法で履物を履いて、車両(軽車両を除く)を運転しないこと」と明記されている。危険運転他の都道府県でも、基本的な趣旨は同じと考えていい。要は、底が比較的薄く平らで柔軟性があり、足に定着するものなら運転に適した履物といえ、反対に脱げやすい履物やペダルの上で滑りやすい履物、柔軟性のない履物や底が平らではない履物、踵が固定されていない履物などはすべてNGとなる。危険運転

 ハイヒールの場合はそもそも踵が高く、安定性に欠け支点=踵がずれやすい。ペダルを踏む前から、足首の関節が伸展していて、足首の操作でペダルを踏む余地がほとんど残っていない。ヒールがフロアマットに引っかかりやすく、運転中に脱げる可能性もある(脱げたハイヒールがペダルに挟まり、ペダルが効かなくなることも)。

 また2011年には、宮城県でハイヒールを履いて運転した女性が、路肩の段差を超えようとしたときに段差を乗り上げた衝撃でつま先が滑り、アクセルを踏み込み暴走。小学生3人をはね、一人が死亡する事故も起きている……(事故を起こした女性は、約6500万円の損害賠償と、懲役2年6カ月の実刑判決)。危険運転

 これらのリスクがあるので、ハイヒールでの運転は絶対にNG。ハイヒールで出かける際は、運転用の靴をもう一足用意して、運転中はそれに履き替えること。警察の取り締まりで見つかれば、安全運転義務違反で、違反点数2点、反則金9000円(普通車)のペナルティが課せられるのでご注意を。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

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