【試乗】速い・楽しい・使える! 3拍子揃った新型日産リーフ

クルマとしての完成度は高いが「買いか?」と聞かれると……

完成車検査不正問題でメディア向け試乗会が中止になるなど、未だ公式なお披露目をしていない新型リーフに乗ってみた。果たしてどんなクルマか? 結論から書くと「3回に渡る改良によって高い完成度を持っていた先代の最終モデルより一段と良い」ということになる。ただ「買いか?」と聞かれたら……。

新型日産リーフ

 まずクルマだけれど、サスペンションを含めたシャシーなど基本骨格は先代と同じ。ただモーター出力を109馬力から150馬力に上げ、大幅な動力性能向上を果たした。アクセル踏んでみたら、素直に「速いね!」。全開した時の加速感は、ウソ偽り誇張なくスポーツモデルを凌ぐ。サーキット走らせたって速い。

新型日産リーフ

 私は初代リーフの初期型で全日本ラリーに出場したけれど、新型リーフなら同じクラスのガソリン車と真正面から戦っても勝てるんじゃなかろうか。コーナーの立ち上がりなど、トラクションコントロールが介入しまくる。電気自動車は環境の乗り物だと思ったら大間違い。電気自動車って面白いです。

新型日産リーフ

 一方、ボンネットがアルミから鉄になるなどコストダウンを行っていたり、相変わらずバッテリーの冷却や暖気は行っていないなど、割り切りも見える。実際、急速充電を2回連続で行うと電池温度が急上昇してしまう。気温の低いときの暖気も重要。寒いと急速充電の効率が極端に落ちる。

新型日産リーフ

 とはいえ40kWhの電池容量あれば、普通に走って240kmくらいの航続距離を持つ(実際の数字に極めて近いと言われているアメリカEPAの航続距離も240km)。冬場にヒーター入れたって200km近く走るだろう。一般的な乗り方をするのなら、必要にして十分な実用性を持つと考えていい。

新型日産リーフ

 アクセルを戻すと停止までブレーキ踏まなくて良いほど強めの回生制動(回生ブレーキ)を行う『eペダル』は、お好みに応じて設定すればいいと思う。加減速の多い交通状況なら、ヘタにブレーキ踏むより電費も良い。慣れれば文字どおり右足だけで発進から停止までコントロール出来てしまう。

新型日産リーフ

 少しアクセルをラフに操作すると前後方向のGが出てしまい、同乗者からすれば極めて不快。激しくクルマ酔いすることに。同乗者居るときや、交通量の少ない道をリラックスして走るならeペダルのスイッチを切っておくことをすすめておく。丁寧にブレーキ踏める人はそのほうが電費も良い。

新型日産リーフ

 ということで実用性や走行性能についての不満は皆無に近く、良いクルマに仕上がっていると思う。ただ「買いか?」と聞かれたら、「自信を持っておすすめることは出来ない」と答えておく。先代リーフのように6年間乗ったら二束三文の下取り査定になることもあるからだ。

新型日産リーフ

 ちなみに先代リーフの初期モデル、ほとんど査定が付かない状況。そもそも中古車を30万円くらいで売ってるのだから、当然の如く下取りも安い。なぜかと言えば、バッテリー容量が下がり、実用性に不安を感じるからだ。初期モデルを持っている人ならわかるだろうけれど、ヒーター使うと航続距離短い。

 昨今のような寒波の中だと、満充電して60kmくらい走っただけで「電池残量警告」が出てしまう。残量警告付くと走っていても不安。これに対し日産は何のフォーローもしてくれないのだった。日産の心意気を感じて新しい技術を買ったのだから、もう少し親身になってほしいところ。新型日産リーフ

 ヒーター入れて200km走る新型ながら、6年くらいすると160km以下になってしまう? 日産が今のままの「放置」を続ければ、新型の中古車価格も期待出来ない。ということで、リセールバリューが低くても気にならないようなら「買い!」。気になるという人は、もう少し待つことをすすめておく。そう遠くない将来、電気自動車は普通の存在になること間違いないですから。

新型日産リーフ


新着情報