初代の踏襲はダメ! 広いだけじゃダメ! 新型ホンダN-BOXのデザインチームが挑んだ難題 (2/4ページ)

高級な普通車にも劣らないエクステリア

 デザインチームでは、初期案としてふたつのデザインを提案。A案は初代の持つ常用価値をさらに伸ばした正常進化方向の案。B案はN-BOXらしさから少し離れた新しい価値を模索しようという案だ。

 社内コンペではA案を支持する意見が多かったが、「本当にその答えが正しいのか」を検証するため、新たにA案改と新B案のモデルを作製。その結果、「やはりA案で間違いない」という確信が得られた。

 中期段階では、N-BOXらしい骨格に磨きをかけ、上質感を表現するうえで重要な洗練された面質を追求。顔つきについても、老若男女、誰にでも似合うデザインを目指してブラッシュアップが図られた。後期に向けては設計要件も織り込みながら細部の造形も整えられていった。

 仕上がったエクステリアは、初代のよさをしっかりと受け継いだデザインだ。だが、2台を並べて見てみると、新型の各部の質感が大きく向上しているのがはっきりとわかる。たとえばボディサイドのドアパネル。光によって描かれる陰影のグラデーションのレンジの広さやきめ細かさは、高級クラスの普通車にも引けを取らないほどだ。

 普通車よりも小さいために全幅の「デザインしろ」が限られてしまう軽自動車で、これだけ豊かな陰影を作るのは、まさに至難の技と言える。

「おっしゃる通り、かなり苦労した部分です。ボディサイドのハイライトは初期のデザインスケッチにも描かれていたのですが、とくにデザインしろの少ないN-BOXで本当にこれができるのか? と思いました。
今回、造形はとくに面の質感と密度感の表現にこだわりました。たとえば深い陰影を作るためには、彫刻的に彫り込むのが現実的なアプローチだと思うのですが、それにより立体が分割されN-BOX特有の塊の強さが損なわれてしまいます。そうならないよう立体全体としての陰影コントロールに気を遣い、面のつながりや張りにも微妙な強弱や変化を付けるなど、クレイモデルで表情を吟味しました。(エクステリアモデリング担当・鈴見さん)」


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