アメリカでは若者がモーターショーに注目! 東京モーターショーが学ぶべきスタイルとは

購入を考える若者がディーラーではなくショーでクルマを選ぶ

 今年もプレスデーから数えると、1月14日から北米国際自動車ショー(通称デトロイトショー)が開幕。17・18日の業界招待日、19日のチャリティプレビューを経て、20日から28日までの期間での開催となった。

 地元メーカーのGMを初めとしていくつかのメーカーが、報道陣であふれるプレスデー期間中に会場内でプレスカンファレンスを行わなかったりと、少々物足りない部分も目立っており、会場内ではデトロイトショー自体の存続を危ぶむ声さえも聞かれた。

 ただ会場内では興味深い話も聞いた。「今どきの若者は複数のディーラーへ行って、新車購入のための商談を行うことに抵抗があるようです。そのためモーターショーへ積極的に出かけ、複数のメーカーのクルマを見定め購入車種を決定し、あとはスマホで連絡して購入するそうです」。

 経済成長著しい新興国のオートショーは、昔の東京モーターショーのように、若者のデートスポットとしてにぎわっているのを目の当たりにしたことはあるが、先進国のオートショーが若者に注目されているとは意外にも思えた。

 とくにアメリカのオートショーで特徴的なのは、オートショー開催期間中に合わせて、地元の新車ディーラーが“オートショー特典”などを用意して販売フェアを行っていること。つまりオートショーと新車販売促進が直結しているのである。これは主催母体が地元のディーラーアソシエーションであることからすんなりとつながっているものと考えられる。

 オートショーへなにげなく出かけたらお気に入りのクルマが見つかった。そして早速ディーラーへ行くというのは、オートショーのメインとなる開催目的そのもの。

 一方東京モーターショーの主催母体は、メーカーの業界団体である自工会(日本自動車工業会)である。最近は会場内での販売促進活動を事実上禁ずるような動きも目立っており、とてもではないが、地元(東京及び隣接県)ディーラーがモーターショーにリンクさせた販売フェアなど行える環境ではなくなっている。

 新興国で開催されるオートショーが増え、それらは当然世界市場においては有望な市場となるので、各メーカーも積極的に出展する。一方で、先進国のたとえメジャーで格式のあるオートショーですら出展を取りやめる“選択と集中”が最近業界では話題となっている。

 今回のデトロイトショーのように、メーカーがショー会場からの新型車などの情報発信を控える動きが顕著になるのは先進国のオートショーでは避けられない動きになっているともいえる。

 そのなかですでに地盤沈下傾向が顕著な東京モーターショーこそ、トレードショーであるオートショーの原点にもどるべきではないかとデトロイトショーの会場で考えた。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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