素早く加速したほうが効率がいい? ふんわりアクセルがエコじゃない現実世界 (2/2ページ)

じつは一気に加速したほうが効率がいい

 機械的なエネルギー効率のことでいえば、一気に加速するのがベターです。たとえばエンジンの効率は全開に近いところにあります。トヨタのハイブリッドシステムでは、アクセル開度でいえば85〜90%くらいのところでエンジンを回しています。そこが効率がいいからなんですね。だから、大きくアクセルを入れて一気に加速したほうが効率は良くなります。そして目標となる速度になったところで、惰性で走らせるのです。そういう乗り物、乗ったことありますよね? そう、ディーゼルカー(ディーゼルエンジンで駆動する列車の車両)や電車では設定された速度まで、いつも全開加速しているんですね。もちろん、そうした運転の効率が良いからなんです。

 しかしクルマの燃費が良くなるとは限りません。一気に加速したと思ったら、横道からクルマが出てきたり、追いついたタクシーが停車しようとしたり、横断歩道で人が渡ろうとしていたり、どうしてもブレーキを踏まされるケースがあります。都市部では細かく設置された信号機に行く手を阻まれたりしますね。

 ディーゼルカーや電車では、停止位置が予め決められていて、そこに向かって計画的に加速や減速ができるので、一気に加速する運転で機械的な効率の良さを引き出すことができるわけです。しかしクルマの場合は不確定な要素が多すぎて、効率の足を引っ張ってしまうんですね。その足の引っ張られ具合が小さくて済むのは、速度が低いほうです。それはブレーキを強く踏む必要がないからです。ゆっくり、まったり加速していたほうが速度が上がらず、足を引っ張られたときのエネルギーロスが小さくて済むわけです。

 結局、どっちがトータルで燃費が良くなるかは判断できないんですね。また、エコという観点でいえば、自分の燃費だけ良くければいい、というエゴドライブは論外でしょう。具体的な例をいくつか挙げれば、高速道路や幹線道路などの流れが維持できる場所では、一気に加速したほうがいいでしょう。また右折などで、後続車の交通の流れ(=燃費)を考えるとスッと加速するべきです。右折レーンに残ってしまうと、燃費が悪化してしまうわけですから。

 少なくとも慢性的に渋滞する都市部では、ふんわりアクセルなど自己中心的な運転はせずに、しっかりと発進加速させて交通の流れを妨げないのが、最低限のマナーだと思います。


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