自動車エンジンの燃焼エネルギーは大半がムダになっているという噂は本当か? (2/2ページ)

燃費と熱効率は比例しない

 一般的な走行では、そういう状況になりませんね。全開近くまでアクセルを踏み込むなんてことは、一般的な日本人ドライバーだとほとんどないですよね。

 たとえばアイドリングやそれに近いような低負荷のときは、エンジンの熱効率は半分以下になってしまうのです。ゆっくり走ったほうがエネルギー量が小さくなるため燃費は良くなりますが、熱効率という面では悪化してしまうのです。

 もっといえば、エンジンの熱効率が良くなっても、燃費が良くなるかどうかは判らない、ということです。たとえばエンジンの熱効率を良くするためには高圧縮にしたり、アトキンソンサイクルを採用したりするわけですが、それは結果としてドライバビリティを悪化させます。

 そして要件が変わると、逆に熱効率が大きく悪化する傾向になります。加速中だったり、気温が高くなったり、エアコンがONだったりする場合です。だから熱効率をピンポイントで狙ったエンジンは、カタログ燃費は良くなりますが実用燃費は悪化してしまいます。真夏に全然走らなくなる、というようなエンジンは、ダメエンジンです。

 それを解消するためのひとつの方法は、シリーズハイブリッドです。シリーズハイブリッドに搭載されているエンジンは、つねに熱効率が最大になるよう制御されます。アイドリング近くで運転するのは、エンジンなどを暖気しなければならないときだけです。通常のガソリンエンジンの運用上の熱効率よりも、1.5倍以上は優れていることでしょう。この部分だけを考えても、ガソリンエンジンよりもハイブリッドは1.5倍以上は燃費が良くなって当然なのですが、実際のところはどうでしょうか??

 ともかく、それでも運用上の熱効率では燃料の持つエネルギーの2/3は捨てられていることになります。最新技術ではガスタービンの熱効率が70%に届きそうですが、それでも30%は捨てていることになります。高圧に圧縮して、高温で燃焼させるというシステムである以上、そうしたロスは避けられないのでしょう。


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