スカイラインGT-Rがアメリカに続々輸出! 国産名車の流出は今後も続くのか

2025年ごろまでは続く可能性がある

 最近アメリカで、右ハンドルのクルマが走っている姿をたまに見かける。なんとも不思議な光景だ。なぜならば、アメリカでは日本のように「逆ハンドル車」を新車で販売できないからだ。

 日本は、左側通行で右ハンドル車だが、一部の輸入車は本国仕様と同じ左ハンドル車で新車販売されている。10数年前までは、「外車は左ハンドル」が常識だったが、VW、メルセデス、BMW、アウディ、ボルボ、ジャガーなど続々と右ハンドルの新車を導入するようになった。

 一方、右側通行の左ハンドルでは、新車の右ハンドル車は存在しない。特例として、自動車メーカーの公道用実験車両を日本から一時的に輸入した場合などで、右ハンドル新車がアメリカで走る場合がある。実際、筆者はそうした車両をアメリカで運転したことがある。だが、アメリカで最近見かけることが増えてきた右ハンドル車は、年季の入った中古車だ。しかも、スポーティな車が多い。その訳が、「25年ルール」だ。

 アメリカでは製造から25年を経過したクルマは、いわゆるクラシックカー扱いとなり、新車で義務付けられている衝突安全規定や排ガス規定の一部の適用が免除される。つまり、2018年現在の25年前となると1993年だ。となると、注目されるのがR32GT-Rだ。’60〜’70年代のスカイラインGT-Rのヘリテイジを継承し、モータースポーツシーンでも大活躍した、GT-R新時代の幕開けとなった逸品だ。

 アメリカの自動車愛好家の中でもR32GT-Rの評価は極めて高く、25年ルールをトリガーとしてR32ブームがアメリカで巻き起こっている。そのため、日本でのR32中古車価格が上昇。追って25年ルールの対象となるR33やR34を買い漁る動きも出てきた。

 では、これから年が進むにつれて25年ルールの対象車が増えると、日本から中古車がどんどんアメリカへ流れていってしまうのだろうか? 筆者は、25年ルールのブームは、2025年ごろを境に収まってくると予想している。その理由は、平成12年排気ガス規制だ。

 平成12年(2000年)に施行されたこの規制によって、日本からハイパフォーマンスなスポーティカーの多くが生産中止に追い込まれた。その後、2010年代に入ると新世代の日系スポーツカーは続々と登場するのだが、90年代までのスポーツカーたちは「味わいの深み」が違う。

 もう二度と、あの時代には戻れない。そんなクラシカルな、日本の自動車技術を集約したクルマたちがアメリカでも愛されることは当然だろう。とはいえ、札束の威力で次々を海を渡ってしまう日本の名車たちの後ろ姿、日本から見ているとなんだか悲しい気持ちになる。


桃田健史 MOMOTA KENJI

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