新型クラウンやフォレスターなどを狙うなら発売前に予約したほうがお得に買えるワケ

車両値引きに差はないが用品値引きや下取り査定額の上乗せで有利

 夏商戦がまさに真っ盛りとなる6月下旬に、注目すべきニューモデルが何台かデビュー予定となっている。新型トヨタ・クラウン、カローラ・ハッチバックそして新型スバル・フォレスターである。このタイミングで新型車を発売しても、オーダーが集中するなどして納期遅延傾向となることが多く、7月中にエンドユーザーの手元へ新型車が渡るのは、ほんのわずかがいいところ。

 新型車の納車が遅延傾向となる理由のひとつに、正式発売の段階ですでに大量のバックオーダーを抱えていることも大きく影響している。各メーカーは新型車がデビューして1カ月ほど経った段階で、“●●(車名)が正式発売後1カ月の段階でバックオーダー5万台”などというリリースをよく発信している。

 それだけ当該新型車の人気が高いということをアピールして、さらなる販促につなげようとするものだが、このようなこともあり、デビュー後しばらくは深刻な納期遅延となるモデルも少なくない。もちろん売れ筋車種が極端に偏ってしまうといったほかの要素もあるが、多数のバックオーダーを抱えていることを“勲章”のようにアピールする行為が、納期遅延を招く要因のひとつであることは間違いないといえるだろう。

 発売後すぐに前述したようなアピールをしたいこともあり、各メーカーではここ最近は、新型車が正式デビューする前の、“予約受注”に力を入れている。力の入れ方を知るバロメーターのひとつが“値引き”である。もちろん正式デビュー前の新型車なので、車両本体価格からの値引きはかなり渋めなものとなり、しかも交渉での拡大余地はほとんどない。

 その代わりに積極的になるのが、用品値引きや下取り査定額の上乗せとなる。予約受注をより積極展開するための販促ツールとして、予約受注期間内だけに用品値引きや下取り査定額をアップするなどの特典が設定されることもあり、正式発売直後よりも予約段階で契約したほうが、全体の値引き特典がよいため得するケースも目立ってきている。

「これだけ売れています」と販促ツールやトークに使うためだけに、予約受注の段階のほうが特典は多いというわけでもない。予約受注を活発化することで、そのオーダー内容から新型車の売れ筋グレードや人気ボディカラー、さらに装着比率の高いメーカーオプションなどを正式発売前に把握することで、本格生産時にはデータに基づき生産の中心を売れ筋仕様に絞り込み、より効率的な車両生産を行っていきたいという考えもあるのだ。

 つまり正式発売前の予約段階のほうが特典が多いのは、ある意味“売れ筋モデル把握の調査料”みたいなものも意識した結果なのかもしれない。

 ただし、新型車のデビュー直後や予約受注段階では上級グレードや、新型車ならではの目玉装備装着車などがよく売れていても、その後はお買い得グレードに人気がシフトしていく傾向もある。単純に“予約受注時に人気があった”として、その後の生産車種のなかで比重をもっとも高くしていたら、ニーズの変化があって、人気グレードが変動することもよくある。

 しかし、当初の生産計画(どのグレードやボディカラー、人気オプション)を変更させずに、予定どおり生産を続けた結果、消費者ニーズと乖離した車種はどんどん生産されるが、一方で実際に人気の高いグレードの生産が増えることなくそのままになることも目立ち、これも納期遅延を招く背景として考えられる。

 6月末にデビューする新型車はすでに本格的な予約受注活動を行っている。フォレスターなどは、予約受注を開始したとリリース発信をしているほどである。トヨタも当然水面下では予約受注を開始している。新型デビュー1カ月前から、商談の際に新型が近々登場する旨の告知が義務となるので当たり前の話だが、端末入力によるディーラーからメーカーへの正式な発注も行えるようになっているのである。

 もっと早い段階で、セールスマンはすでに“お得意さま”への新型への代替え提案を行い、“仮予約”のようなものを相当数確保しているので、すでにこの段階でも多少の納期遅延には巻き込まれる可能性も高い。しかし正式発売後よりは納期遅延は深刻化していないので、すでに「新型クラウンが欲しい」など、デビュー前の新型車へ購入意思がほぼ固まっているひとや、本命とライバル車との1本勝負ぐらいで正式発売前の新型車の購入を検討しているひとは、是非正式発売前にディーラーへ行き様子を探ってほしい。

 6月末デビューモデルともなると、7月に入ってから本格的な販促活動が始まり、多くのディーラー店舗に展示車や試乗車が整う7月中旬あたりで試乗会などが催される。ただ、8月の長期となるお盆休みが絡んできたりして、ほかの時期より納期が長めになりがち。

 ディーラーとしては9月の2018事業年度ベースでの半期決算セールで販売実績カウント(つまり納車が9月になる)を目指しているのだが、7月に入ってからの受注では、人気次第では9月中の登録&納車が危うくなる可能性もある。そのためほかの時期よりも予約段階での受注を積極化させるため、予約段階でより好条件が出やすい環境になっているともいえるのである(9月は半期決算でしかも1カ月だけでの勝負となるが、販売目標台数もかなり多いので、1台でも多く実績に結び付く車種を早めに確保したいのである)。

 意外な話なのだが、新型車は正式発売前に購入するほうが、正式発売直後に購入するより買い得感は高いのである。実車を確認することは当然できないし、正式なカタログなどがないなか、セールスマンに配られる新型車のスタッフマニュアルベースでの商談となるが、各店舗には必ず最低1名はメーカー主催の事前の商品説明会に参加し、実車を実際に見て試乗しているスタッフがいるので、話を聞くことは可能となっている。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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愛車
2019年式トヨタ・カローラ セダン S
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乗りバス(路線バスに乗って小旅行すること)
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渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

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