大型バス・トラックの代名詞「ダブルタイヤ」が消えつつある理由とは

軽量化や走安性を実現できるワイドシングルタイヤが売れている!

 大型トラックやバスの後輪(駆動軸)はタイヤの耐荷重性を確保するために、一軸あたり片側2本の左右で4本の「ダブルタイヤ」で荷室を支えるのが主流だった。そのスタンダードだったダブルタイヤが近年、徐々に減ってきていると言われている。

 その理由は、フランスのタイヤメーカー「ミシュラン」がダブルタイヤの代わりに、1本のワイドなシングルタイヤにまとめたタイヤ「X One」を開発し、販売し始めたからだ。このシングルタイヤの最大のメリットは軽量化といえる。

 一般的な前輪一軸・後輪二軸のトラックの場合、タイヤ本数は前輪2本・後輪ダブルタイヤ×4=8本、合計10本だったのが、シングルタイヤだと前輪2本、後輪4本の計6本になりタイヤホイールの重量だけで200kg(一台分)も軽量化できる。

 トラックの積載量は「車両総重量ー車両重量」となるためシングルタイヤにすれば、同じトラックで200㎏も余分に荷物を積めることになる。トラック10台にシングルタイヤを履けば、2トントラック一台分の輸送コストを軽減することができる。

 ほかにも軽量化による燃費が向上し、左右のタイヤ間距離(輪距)を拡大できるため車両の走行安定性がアップし、低重心化にも有効とメリットばかりとなっている。こうしたことから、北米では2000年のミシュラン「X One」の発売以来、2010年までの10年間で200万本(!)も売れている。

 日本には2007年から導入されていて、日本ミシュランタイヤ広報部によると、2013年から2018年の5年間で装着車両が10倍も増えているとのこと。また昨年発売になった、三菱ふそうトラック・バスのトラック「New Super Great」では、メーカーオプションに「X One」が用意されている。今後はトラック、バス、ダンプ、トレーラーなどの新車装着でも、シングルタイヤが増える見通しだ。

 あと数年もすれば、いまのダブルタイヤは少数派となり、シングルタイヤがトラック・バスのスタンダードタイヤになる日が近いかもしれない。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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