新型カローラ・アクシオ&フィールダーは3ナンバーか? カローラ・スポーツへの改名が布石か

新型カローラ乗り替え見込み客の多くは3ナンバーに抵抗がある

 6月26日にトヨタは新型クラウンのフルモデルチェンジの発表と、新規投入車種“カローラ・スポーツ”を発売した。

 トヨタのウエブサイトの個別車種紹介ページには、“工場出荷時期目処のお知らせ”というコーナーが設けられているのだが、カローラ・スポーツの納期目処を見ると、注文してから1カ月程度としながらも、ハイブリッドG“Z”グレード及びG“Z”グレードに関しては2~3カ月程度となっている。

 販売現場で話を聞いてみると、「クラウンほど派手に売れるクルマではないことは、発売前からわかっていました。そのなかでも、それなりによく売れているところと、売れ行きがいまひとつというところなど、反応にバラつきがあるようですよ」とのことであった。

 そんな話のあとに、さらに興味深い話を聞くことができた。「発売前から『カローラ・ハッチバック』として、歴代カローラの歴史や『12代目カローラ』なども紹介しながら、多くのメディアに“近日登場予定車種”としてカローラ・スポーツが取り上げられたこともあったのか、カローラ・アクシオやフィールダーも同じタイミングでフルモデルチェンジしたと思われて店に来られるお客様が目立っています」とのことであった。

 セダンボディのカローラ・アクシオとステーションワゴンボディのカローラ・フィールダーはご存じのとおり、カローラ・スポーツが正式発売されてもフルモデルチェンジは行なわれていない。2019年の初夏あたりに、3ナンバーワイドボディとなってフルモデルチェンジを行うという情報が有力とされている。

 カローラ・スポーツの画像が載り、“12代目カローラ”などという表現で紹介されれば、「アクシオもフィールダーも新しくなったのかな」と思われてもしかたない。ただ、来年新型になるアクシオとフィールダーは、3ナンバーボディになるとはいえ、カローラ・スポーツほど全幅は拡大せず、つまりTNGA思想に基づく新規プラットフォームは採用するものの、“単純にカローラ・スポーツにトランクを付けた(あるいはラゲッジルームを拡大してステーションワゴンにした)”ものではないという情報もある。

 カローラ・スポーツを見て、「カローラにしてはボディが大きすぎる」という話もよく聞く。だいだい現行アクシオとフィールダーは、その先代が5ナンバーボディながら全長が長くなったりして、「大きくなりすぎた」といわれてダウンサイズして登場している。現行カローラユーザーのなかにはボディサイズに敏感なひとも多いのである。

 いままで「5ナンバーだから」と、営業車として使っていた法人ユーザーの一部からも、ボディサイズに関する過敏な反応はあってもおかしくない。

 そのように、次期アクシオ&フィールダーはいままでのカローラシリーズのフルモデルチェンジとはかなり状況が異なっている。世の中がクルマへの興味や関心が薄れている、“クルマ離れ”が顕著になって久しい日本だが、その日本にあって、年齢や性別を問わずその車名が広く知れ渡っている日本車は非常に数が少ないとされているが、その数少ない1台がカローラとなる。

 そして、とくにその車名に慣れ親しんだ、そしていまの新車販売で重要なポジション(クルマ離れが進む中でも、比較的興味や関心が強い)を占める年配層にとっては、“カローラ=大衆車”というイメージが定着している。同時に“3ナンバー車は贅沢”というイメージを抱くひとも多いので、それだけカローラ・アクシオ&フィールダーの3ナンバー化が市場に与えるインパクトは計り知れないものとなっている。

 自販連(日本自動車販売協会連合会)統計によると、2018年6月のカローラの販売台数は8053台となり、前年同期比104.2%、2018年5月比で約145.2%となっている。6月の販売台数の内訳は、メーカーやディーラー社有車がメインとなるだろうが、6月の販売台数にはカローラ・スポーツの分が上乗せされていることだろう。

 当初はその上乗せ分がカローラ全体の販売台数を押し上げたと考えていたが、正式発売前に、カローラをはじめとするカローラ店の扱い車種に乗っている管理顧客をメインにカローラ・スポーツへの代替え促進を行なったところ、結果的に現行アクシオやフィールダーへ代替えしたという動きも結構目立っていた可能性は高い。

 カローラという車名にネガティブイメージなど、特別な思い入れを持たない若者(フィールダーはキムタクが宣伝していたクルマという程度は認識ある模様)には、3ナンバーであろうが、5ナンバーであろうが、それはたいして気にされることはないだろうが、“クルマを所有する”ということ自体には非常に消極的というか、そもそも運転免許を持っていないひとも多い。

 いままでカローラを乗り継いてきたユーザーや、年配ドライバー層の間では程度の差こそあれ3ナンバーボディ化というのは、かなり重要な関心事となるのは間違いない。現状では正式に次期アクシオ&フィールダーが3ナンバー化されるとの話もないので、販売現場も「3ナンバーになるなら、それに抵抗が強そうな管理ユーザーを現行型に代替えしておきたい」と考えるセールスマンもいるようだが、動きようがないようだ。

 すでに先代アクシオ&カローラの時に、北米でラインアップされていた“サイオンxB”をベースにした3ナンバーボディの“カローラ・ルミオン”をラインアップしていたが、それはあくまで派生モデル扱い。今回のカローラ・スポーツのように、カローラの本流シリーズにより近いイメージを与える販促キャンペーンはなかったと覚えている。

 カローラ・スポーツを先行発売することで、来年登場予定の次期アクシオ&フィールダーが、カローラ・スポーツなしに突然フルモデルチェンジするよりも、「それじゃ(カローラ・スポーツが3ナンバーでデビューしたから)アクシオもフィールダーも3ナンバーになるんだ」という、ある意味新型アクシオ&フィールダー登場の“地ならし”役という意味もあって、オーリス後継なのにカローラ・スポーツと改名したという部分もあるのかもしれない。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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2019年式トヨタ・カローラ セダン S
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