消えた日産サニーと生き残るトヨタ・カローラ! ライバルの明暗を分けたものとは

カローラはグローバルでもカローラだったがサニーは……

 古くからの自動車ファンにとって、ライバルモデルと聞けば「日産サニーとトヨタ・カローラ」という名前があがるかもしれない。1960年代に登場した初代モデルにおいて、後発のカローラが『プラス100ccの余裕』という挑発的なキャッチコピーを掲げたことも、生まれながらのライバルというイメージを強めた。

 しかし、カローラは日本市場においてそれなりの存在感を示しているが、サニーという名前は日本のみならず日産のラインアップから消滅している。どこで、こうした違いが生まれてしまったのだろうか。

 まず、大前提としていえることは、サニーという名前は消えてしまったが、同カテゴリーのモデルは、北米などにおいては「セントラ」といった名前で生き残っているということだ。

 ここに、カローラという名前が今も使われ、サニーがセントラという車名にシフトしてしまった大きな理由がある。世界的な大市場であり、またセダンの支持が強い北米市場においてトヨタは「カローラ」のまま販売しつづけたのに対して、日産は「セントラ」とした。この判断を行なった1980年代に、21世紀になって「サニー」という名前が消えてしまった起点がある。もし、北米仕様を「サニー」のままにしていれば、現代にもその名前はサバイブしていたことだろう。

 一方、トヨタは「カローラ」という名前をグローバルに使ってきた。日本、北米、欧州においてまったく異なる外観、中身のモデルに統一した名前をつけてきたことに批判の声もあったが、ブランディングという点においては「カローラ」を守り続けてきたことに意味はあった。2017年に世界でもっとも売れたクルマの名前が「カローラ」であったのだ。まさにレジェンドネームである。

 なお、現行「セントラ」は日本において「シルフィ」という名前で販売されている。その名前からブルーバードの後継モデル(かつて「ブルーバードシルフィ」というモデルがあった)という印象もあるが、モデルの系統でいえばサニーの末裔といえる。

 その意味では、1.8リッターエンジンのダウンサイジングとなる1.2リッターターボを搭載したカローラスポーツと、自然吸気の。1.8リッターエンジンを積んでいるシルフィは、ボディスタイルは異なれど、素性の上ではかつてのライバル関係を思わせる2台といえそうだ。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
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