最初は車外にあった! 進化し続けるシフトレバーの歴史

大きなレバー操作に始まり現代ではボタン式に

 EVではシフトのようなスイッチと言っていいかもしれないが、すべてのクルマに付いているのがシフトだ。機能自体はMTであればギヤの選択。ATであればモードの選択とあまり変わらないが、その形状は恐ろしく変わってきている。

 まず自動車創成期には車外に設置。オープンボディしかなかったこともあり、ボディの横から出ていて、ドライバーは力がより入る右手で操作した。だから、現在左ハンドルの国のクルマでも、最初のころは右ハンドルだった。

 その後、フロアの下にリンクを通す技術が開発され、現在に続くフロアシフトが登場する。ただし、フロアシフトは高級装備とされ、コラムシフトが一般的だった時代もある。だいたい1960年ぐらいまでだろうか。当時のカタログを見ても、「フロアシフトを採用」を謳っていたりするのだが、フロアシフトのほうが素早い変速ができるからというのが理由だったりした。ただ、一概にフロアシフトがよくて、コラムシフトが安っぽいというわけでもなく、フロアをごちゃごちゃさせたくない高級車では後者を採用する例も多かった。ちなみに初代センチュリーにはフロアとコラムと両方が用意されていた。

 コラムシフトはタクシー専用車には最近まで残っていたので覚えている方もいるかと思うが、シフトパターンが独特なのと、ステアリングコラムまでリンクを引っ張ってきているので操作感がよくないなどの欠点はあった。ただ、同じくタクシーを中心にコラムのATというのもあり、こちらは感触はあまり関係なく、前席スペースを確保することに貢献した。

その後、1990年代に起こったミニバンブームで登場したのが、インパネシフトだ。これはまさにインパネから短いシフトが出ているもので、手が伸ばしやすく、シートまわりのスペースを阻害しないというコラムとフロアのいいとこ取りのようなタイプで、今でも採用するクルマは多い。

そして2代目プリウスの登場で驚いたのが、小さなスティック状のシフトというかレバーというか、スイッチ。ちなみに初代プリウスは一般的なコラムシフトだった。2代目のこそ新時代感にあふれていたが、要はそれまではワイヤーなどでミッションとアナログ的につなげていたのが、電子制御化が進んだことでシフトは命令を出すためのスイッチとなった証でもあった。その後、プレミアムモデルを中心に本当にボタンやダイヤルでシフトを選択するクルマが増えているが、これもまた電子制御のおかげである。


近藤暁史 KONDO AKIHUMI

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