毎回捕まる赤信号や異常に短い右折信号にイラッ!  信号の制御はどうやって決まっている?

単純なものから複雑に統制されたものまで3つが存在

 青・黄・赤の3色で交通の流れをコントロールする信号機。車両、歩行者ともに厳守することで安全な交通社会を生み出す基本中の基本といえる設備だ。その信号だが、スムースな交通にも寄与する要素でもある。そんな信号機だが「いつも赤信号で停止する」と感じる交差点もあれば、「ある速度で走っていると連続して青が続くのでスムースに走ることができる」と実感できる通りもあるだろう。

 では、信号機の制御というのはどのようになっているのだろうか?

 大きく「地点制御(点制御)」、「系統制御(線制御)」、「地域制御(面制御)」の3つに分けることができる。

「地点制御」というのは、それぞれの信号機が単独で制御を受けるもので、単純に一定のタイミングで青・黄・赤のサイクルで点灯しているものもあれば、押しボタン式やセンサーでクルマを検知したときに切り替える感応式もある。また制御部分にカレンダーや時刻といった条件を設定しているものもある。夜間点滅に切り替わっているのは、このタイプが多い。また、感応式のセンサーを利用して交通量に応じて右折信号の時間を長くする信号機もある。

 さて、地点制御というのは交通量に関わらず(曜日や時間帯による切り換えはあるとしても)一定の制御を行なうわけだから、走り慣れているドライバーであれば青になるタイミングなどを把握することもできる。うまくいけば連続して青信号となり、ノンストップで走り続けることができたりもするだろう。

 そうしたスムースな交通の流れを信号制御でもアシストしようというのが「系統制御」だ。大通りなどの連続した信号機、ひとつの系統として関連付けることで青信号を連続させ、交通を滑らかにしようというのが狙いだ。信号で停止するというのは燃費(エネルギー効率)の面からも、移動時間の面からももったいない行為であるから、系統制御による円滑な流れというのは重要だ。けっして珍しい技術ではなく、多くのドライバーが気付かないうちに、その恩恵にあずかっているはずだ。

 広域制御とも呼ばれる「地域制御」は、もっと大きなエリアを対象に、交通状況を瞬時に分析することで、それぞれの信号機を最適なタイミングで制御するもの。交差する道路の交通量により青信号になっている時間配分(スプリット)を変化させたり、サイクルを微妙に調整したりしている。これにより、全体として見ると停止時間や信号待ちの車列を減らすようにしている。こうした制御においては将来的に、AI(人工知能)による最適化が研究されている。自動運転時代となり路車間通信が当たり前になれば、より細かく情報が収集できるため地域制御の精度も上がることが期待される。

 もっとも、完全自動運転に時代になれば、クルマ同士が車車間通信でコミュニケーションをとるため信号機がなくとも交差点がスムースに流れるという実験もある。もちろん、歩行者や自転車との共存を考慮すると交差点から信号がなくなるとは思えないが……。シンプルに見える信号機も着々と進化している。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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