怪しいパクリキャラに野外ライブ! 中国・広州モーターショーの勢いは日本も見習うところアリ

日本のアニメキャラらしき着ぐるみが会場を闊歩

 11月16日から始まった広州モーターショー。16日は原則プレス関係者のみ取材のため入場できる“プレスデー”であった。とはいうものの、実際は出展者や設営業者用の入館証をどこからか入手したり、地元ディーラーが裏からこっそり“お得意さま”を会場に入れるなどしているようで、かなり一般人も多い。

 何やらNEV(新エネルギー車/中国語では新能源車)にフォーカスした展示内容や地元メディアの取材活動が目立っていたが、翌日の一般公開日初日に行くと、相変わらずの何でもありありの中国らしいモーターショーの雰囲気に満ちていた。

 ナンバープレートの発給規制対象外になるなど、NEVを購入するメリットは計り知れないので、一般来場者のひとたちもNEVには結構興味がある様子。そのため展示車でNEVが多い(とくに中国民族系メーカー)のも納得はできるのだが、一般公開日になるといつものように、メルセデス・ベンツ、BMW、アウディ、VW(フォルクスワーゲン)ブースは窒息しそうなぐらいの数の来場者でにぎわっていた。

 次期型カローラ&レビンと、広州モーターショー開催前日に中国市場に投入されたアバロンを展示するトヨタや、アルティマを発表した日産ブースも新型車とステージ上のお姉さまや外国人モデル軍団などのパフォーマンスが呼び水となり、多くの来場者でにぎわっていた。

 日産ブースでは、目立った改良がなくても、筆者が取材した経験のある北京や上海、そして広州モーターショーでは、必ずGT-Rが展示されている。事情通によると「改良しようがしまいが、GT-Rを置くだけで集客効果が俄然アップします。欧米のスポーツカーにない、独特の雰囲気が中国のクルマ好きのひとたちの間でも人気が高いようなのです」とのことである。

 ただ東風本田と広汽本田とで合弁会社別にブースを構える(隣り合っているわけではない)ホンダはEVなどを積極的に披露したものの、トヨタや日産までのインパクトのある来場者の呼び込みができなかったようで、若干勢いに欠ける様子がうかがえた。

 一方でトヨタや日産、ホンダに比べれば規模の小さめなブースを構えるマツダやスバルブースは、スペースが狭く密度が高いせいもあるのか、より来場者が多くいるようにも見え、盛況な様子が目立っていた。両メーカーともに“超目玉”となるようなホットな新型車やコンセプトカーがあるわけでもないなかなので、ブランドとして注目されているのかもしれない。

 逆にプレスデーでは多数のメディアでにぎわっていた一部中国系メーカーでは、ブースで待機するセールスマンのほうが目立つようなところも見受けられた。北京や上海では見ることのできなくなった、大音量のダンスパフォーマンスやコンパニオンのお姉さん、そして会場を闊歩する数十匹の●カチュウらしきキャラクター。北京や上海が国際モーターショーとしての格式を優先させるために自粛してきたことを、今回も広州モーターショーでは見かけることができた。「やっぱり中国のモーターショーはこれでなきゃね」と感じた。

 闊歩していた●カチュウらしきキャラクターの着ぐるみはクオリティも低く、どう見ても“怪しさ百倍”なのであらためる必要があるだろうが、クルマ好きの旦那さんと一緒にきた奥さんや子ども、クルマ好きの彼氏とデートできた彼女など、クルマにそれほど強い興味のないひとでも、なんだかワクワクしてくる仕掛けがほかにもたくさんあった。急速にモータリゼーションが進む中国では、すでに若者のクルマ離れが進んでいるとされている。そんな若者向けなのか、会場施設内に特設のライブ会場を設営し野外ライブも行っていた。

 一般公開日の朝一番には、多くのメーカーブースでセールスマンが大声を出して気合を入れている。メーカーによっては、お客の名前と購入車種を書き出す大きなボードが設置される。モーターショーを純粋なトレードショーと位置付け、ディーラーが週末に行うフェアの拡大版と考えれば、何でもありありのお祭り騒ぎの広州モーターショーには違和感は全然覚えないし、すっかり落ち目となってしまっている東京モーターショーも原点回帰で見習うべき部分は多いといつも思ってしまう。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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