自動車カタログのエンジンスペックはなぜ「PSとkW」「N・mとkgf・m」の2単位を併記するのか?

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自動車カタログのエンジンスペックはなぜ「PSとkW」「N・mとkgf・m」の2単位を併記するのか?

国際的な計量基準ではkWとN・m

 日本の計量法は、1992年に全面改訂され現行法となっている。これは、国際的な計量基準と統一を目指したものだ。それによって、エンジンの性能表示も最高出力がkW(キロワット)、最大トルクはN・m(ニュートン・メーター)となった。ただ例外措置として、エンジンの証明や取引に関しては、当分の間フランス式の馬力表示を表記することを認めている。

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 フランス(仏)馬力とは、PSで表される馬力表示で、これに対しイギリス(英)馬力といってHP(ホース・パワー)で示されるものもある。これらは、基になる単位の違いにより、仏馬力はメートル法、英馬力はポンド・ヤード法に基づくため、両社の間には若干の差がある。1仏馬力が735.5W(ワット)であるのに対し、1英馬力は745.7Wとされる。

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 いずれにしても、馬力とワットの間には以上のような相関関係があるので、エンジンの最高出力をキロワットで表すと、馬力より小さな値になる。

 トルクも、国際単位系の表記に統一されたことにより、N・mで表されることになった。トルクとは、回転を生じさせる力のことで、基点から1メートル離れた場所(点)に、直角方向に力を加えたときの回転力を言う。

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 新計量法に改訂される前は、kgf・mと表記された。1kgfは9.8Nと定義される。国内では、長年にわたってエンジン性能は馬力を中心に語られることが多く、トルクについてはあまり理解が進んでこなかった。そこでkgf・mからN・mに単位が切り替わっても、あまり戸惑いを覚える人はいなかったのではないか。

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 今後、原動機の電動化が進むに従い、モーター性能が比較検討される機会が増えるので、電気製品であるモーター性能の表記kWと、エンジンを併用するハイブリッドなどの性能を見る場合、馬力もkW表示であるほうがわかりやすくなっていくのではないか。

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 またトルクについては、ディーゼルターボエンジンの普及により、「低速トルクが大きいので出足の加速がよい」とか、「低速トルクが大きいことによって軽いアクセル操作で十分な速度が得られる」などの評論が増え、トルクに対する価値の認識が高まってもいる。とくにモーターは、ディーゼルエンジン以上に起動トルクが大きいことから、運転のしやすさ、巡行での走行の楽さなどがより語られていくことになるだろう。

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 いずれ、馬力表示がキロワット表示へ統一されていく可能性はあるが、エンジン車が市場に残る間は、何百馬力といった表現が馴染んでいるので、当分の間の暫定措置が続けられるのではないか。自動車関連諸税においても、当分の間という追徴課税が続けられている。

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 ちなみに、ゴルフ界では、政府の意向を受け1980年代にコース表示をヤードからメートルに変更したが、永年親しんできたゴルファーからの評判が悪く、またゴルフ発祥の地である英国や、ゴルフ人気の高いアメリカがヤード・ポンド標記であることから、再びヤード表示に変更されたといったいきさつもある。

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