ドライブが苦痛になるクルマ酔い! 酔いにくい車種は存在するのか? (1/2ページ)

クルマはヨー・ロール・ピッチの3軸で動く

 子どもを連れてのロングドライブとなると気になるのがクルマ酔い。幼児のころは起きないと言われているが、小学校低学年から中学生になるくらいまでの時期はクルマ酔いする子どもが増えてくる。大人になるとクルマ酔いしにくくなるのは、慣れもあるが脳の発達が影響している。逆に乳幼児がクルマ酔いしないのも脳が未発達すぎて影響を受けづらいからで、脳が発達段階にある子どもがクルマ酔いしてしまうのは仕方がないことだ。

 医学的には「動揺病〈どうようびょう〉」と呼ばれるクルマ酔いの原因は、加減速やロール、上下動などの物理的な刺激により、いわゆる三半規管が刺激過多の状態になってしまうから。それにより脳で情報を整理できなくなり、結果として気持ち悪くなり、嘔吐してしまうこともあるのが、典型的なクルマ酔いだ。人間が自力では出せないような物理的な刺激を処理しきれないと考えてもいいだろう。つまり、急発進をすることや速いコーナリングはクルマ酔いにつながりやすいといえる。

 では、酔いにくいクルマというのはあるのだろうか? あらためて動揺病の原因となりやすいクルマの動きを整理すれば、加減速・ピッチング・ローリング・ヨーイングの各モーメントとなる。加減速については、ドライバーの自制心や配慮によって影響する部分もあるので割愛するとして、3種類のモーメントについてはクルマのシャシー性能によっても変わってくる(もちろん、運転の仕方による影響は大きい)。

 いずれのモーメントについても動きが抑えられていればクルマ酔いしづらい傾向になると考えられる。ただしロールを抑えたサスペンションは、どちらかといえばハードになりがちで路面が荒れている状況でのピッチングは大きくなってしまう。逆にピッチングを抑えるとロールが大きくなりがちだ。このように相反する部分もあって、3つのモーメントを同時に抑えるということは難しい。結局は、おとなしいドライビングがクルマ酔いを防ぐには重要となりそうだ。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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