新車購入はフェアを開催する週末よりも木曜・金曜の商談が有利なワケ (1/2ページ)

スタッフの余裕でいえば平日のほうが有利

 新車ディーラーがいまのように、どのブランド系列でも土曜・日曜の週末に当たり前のように店を開けるようになったのは、30年ほど前の”バブル景気”と呼ばれたころといっていいだろう。

 そして、いま現在も好景気が続いており、“いざなぎ景気”を超えて戦後2番目の長さになったという報道がされている。

 ただ、「実感がいまひとつわかない」などといわれるいまの好景気と異なり、バブル景気は誰でも好景気と実感できるほど、まさに世の中が湧きたっていた。当時は新車販売も結構な比率で新規購入(初めてマイカーを持つ)の割合が高かったこともあり、「店を開けていれば、開けるだけ新車が売れた」といわれたほど、歴史上もっとも新車が良く売れた時代であった。

 ただ、そうはいってもバブル景気の初期ごろまではそれまでの流れもあり、新車ディーラーは日曜日に休む店も多かったのだが、なかには“日曜営業実施中”などと大々的に宣伝して集客をはかるようになり、業界全体で週末も店を開けることが一気に広がり、いまのように当たり前となった。

 かつてはたとえば1カ月に4回週末があるとすると、そのうち2回はメーカーが仕切り全国一斉で週末イベントを開催し、残りの2回を各地域の同メーカー系ディーラー(当時は日産やホンダ、そしてマツダも今のトヨタのように複数の販売チャンネルを持っていた)仕切りの地域ごとの週末イベントを積極的に開催していた。来場記念品がいまとは比較にならないほど豪華であったり、まだまだ物珍しさも手伝って集客効果も高く、より多くの受注確保につなぐことができた。

 当時はいまの中国など新興国のように、消費者の“クルマ”に対する興味が非常に高かった。優秀な日本車が世界中を席捲していた時期でもあり、連日のようにその様子がテレビなどで報道され、内外ともに“もっとも日本車が輝いた時期”などともいわれていた市場環境も週末イベントの集客効果を高めていたといっていいだろう。

 そのような週末イベントの集客力の高さには、”平日に比べて週末イベントのほうが値引きアップする”ということがあった。当時はメーカーからの”販売報奨金”もかなり多く、それが週末イベント用の値引きアップ原資にまわされたことも背景のひとつにあった。しかし、いまでは販売報奨金はほとんど支給されないのが現状。そのため”週末は値引きがアップする”ではなく、”週末は平日より値引きがアップしやすい”というようになってきている。つまり平日と週末では、提示される値引き条件に大差がなくなってきているのである。

 さらにいまどきのディーラーの販売現場はご多分に漏れず”人不足”状態となり、店舗ごとに配属されるセールススタッフの数も十分に足りていない。週末イベントの集客効果が低くなっているとはいえ、平日は会社にて”9時〜17時”で勤務するサラリーマンの新車購入予定客は、週末に店頭に呼び込んで販促活動をすることになる。(人不足で週末は店頭待機を原則とする店舗も目立つ)。

 加えて定期点検などで訪店する自分の得意客への対応もあるので、フリーで店舗を訪れるとセールスマンの手がふさがっていて、商談開始まで待たされることも稀だがあるようだ。そのため週末には1件の商談に対しそれほど十分な時間をかけることができないので、人によっては、”もっと腰を据えて商談したい”などと、不満を持つお客もいると聞く。

 いまはやや沈静化しているようだが、一時期のスバル系ディーラーは店舗数自体が少ないなかで、アイサイト搭載で一気に話題となり、週末は多くの店舗で商談客で大賑わいだった。それに比べると、平日は週末に比べればセールスマンも時間に余裕があるので、じっくりと商談することも可能。

 いまでは、平日でも時間に余裕のある現役を退いた”リタイヤ層”や”セミリタイヤ層”の自動車ユーザーも増えているので、ディーラーも週末に偏った受注活動を改め、週末と平日と平準化して受注台数を追いかける傾向が強まっている。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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