長年愛される三菱の顔! デリカの歴代モデルを振り返る (3/3ページ)

安全性を高めるためにボディ形状も進化する

 1990年代に入ると、自動車の安全性が重要視され始める。日本でも衝突試験が行なわれようとしていた。これがワンボックスカーに大きな試練を突きつけてきた。ワンボックスカーでは、衝突時につぶれてキャビンを守ってくれる「クラッシャブルゾーン」が圧倒的に足りない、という問題である。そこでワンボックスは、短いノーズを設けクラッシャブルゾーンを確保、安全性を向上させた。1991年日産バネットはバネット・セレナに、1995年にはトヨタ・ハイエースもグランビアに進化した。

 デリカも進化が必要だった。ベースとしたのは、1991年に2代目モデルへと大きく進化を遂げていたパジェロである。そして1994年、4代目デリカとなる「スペースギア」が登場する。パジェロと同様の頑丈なビルトインラダーフレーム構造、ロック可能なセンターデフを持つスーパーセレクト4WDを搭載し、4WDモデルは高いクロスカントリー性能を誇った。大バリエーションを用意し、さまざまなユーザーに応えたのだ。またこの頃、重要なクルマが他社からデビューしている。

 それは1994年に登場したホンダ・オデッセイである。ワンボックス進化型ではない、乗用車の延長線上にあるミニバンだ。オデッセイは大ヒットし、今度は「ミニバンブーム」を巻き起こす。出自が違うとはいえ、ミニバン化したワンボックスにとっても、これは追い風となった。

 デリカ・スペースギアも大いに人気を集め、三菱のドル箱車種へと成長。オデッセイ、スペースギア以外にも、ホンダ・ステップワゴンや日産エルグランドなど、ミニバンのベストセラーが数多く生まれている。

 一方、北米では1980年代後半からSUVが人気を集めていた。それが2000年代になると人気はグローバル化、世界的な人気ジャンルへと成長する。三菱は2001年にエアトレックを投入。その後継モデルとして2005年、アウトランダーが登場する。三菱らしく高性能な電子制御式4WDを搭載していた。

 これが5代目デリカ「D:5」に受け継がれる。D:5の個性はミニバンとしては圧倒的に高い走破性にある。ミニバンとSUVのクロスオーバーとして唯一無二の存在と言えるだろう。

2007年 5代目デリカD:5【CV系】

高いオールラウンド性能を持つSUVとミニバンのクロスオーバー

「D:5」とサブネームが変更された5代目。初代アウトランダーと共通する電子制御式4WD、可変バルブタイミング機構付きの2.4Lエンジンを搭載、いわばミニバンとSUVのクロスオーバーモデルと言える。4WDが先行販売され、すぐに2WDが追加された。

 当初は8人乗りのみ設定、のちに7人乗りが加わる。トランスミッションはCVTで、スポーティなパドルシフトを備える。

 2WDの主力に据えたのは専用エアロパーツを装備する「ローデスト」。のちに4WDモデルにも設定された。

2005年 アウトランダー

D:5と共通の4WDシステムを採用する

 三菱の新時代SUVとして2005年に登場した初代アウトランダー。2WD/4WDオート/4WDロックの3モード備える電子制御式の4WDなどD:5同様のシステムを搭載。

国産ミニバン初のクリーンディーゼルエンジン

 2012年、デリカD:5は国産ミニバンで初めて規制をクリアするクリーンディーゼルエンジンを搭載。2.3Lターボは、36.7kg-mというガソリンよりはるかに高いトルクを発生した。


新着情報