FRなら何でも楽しいわけじゃない! レーシングドライバーが本気で選ぶ走りのいいFR車5選とその条件 (2/2ページ)

新型スープラのパフォーマンスに期待!

 ではどのFRだったら納得できるか。筆者が選んだのは以下の5車だ。

1) BMW 3シリーズ(E36〜E46)
2) BMW Z4 Mクーペ
3) メルセデスAMG C63/E63
4) ポルシェ944ターボ〜968
5) トヨタ・スープラ(A80型)

 1)のBMW3シリーズに関して言えば、モデルに関係なく全グレードでパワースライドドリフト走行が可能でバランスもコントロール性も抜群だった。M3はもちろんだが、エントリーモデルの318iでも可能だったことが素晴らしい。

 2)のMクーペはFRスポーツのお手本のようなハンドリングでグリップ走行もドリフト走行も自由自在。いかなる場面でも自在に姿勢コントロールできる優れたFR特性を持っていた。だがこれらのモデル以降、BMWのFR特性はレベルダウンしていってしまう。

 3)のAMG 63モデルは並外れたパワーに物を言わせ、どんな状況からでもドリフト姿勢に持ち込めてパワースライド走行できる。世界で大人気のドリフトイベント「D1グランプリ」に筆者がエントリーするならAMG63モデルをチョイスするだろう。

 4)のポルシェ944ターボ〜968はFRだがトランスミッションをリヤアクスルにレイアウトするトランスアクスル方式を採用している。シャシー性能の高さに対してパワー的に不足感があるのは否めないが、そのハンドリングは非の打ち様がないほど完璧だった。

 FRモデルを自在にパワースライドコントロールさせるにはリアアクスルのLSD化は不可避だ。逆にLSDさえ装備できるのなら日産クルーでも低速ドリフト走行は可能になる。

 だがハイスピードを維持するためにはパワーとシャシー剛性も必要だ。国産モデルでかろうじて机上に載せられるのは、5)のトヨタ80スープラくらいなのだ。新型スープラが高度なレベルで理想的なFRスポーツモデルとなって登場していることを期待したい。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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