安価なクルマにも装備すべき! 「ハンドル調整機能」が高齢者の暴走事故減少に効果あり (2/2ページ)

テレスコピック機構装備しないのは原価削減のため

 そこで、操作間違いによる事故を予防できるよう、国内で軽自動車や小型車を開発している自動車メーカー各社の技術者や商品企画担当者に、ハンドルの上下調整を行うチルト機構だけでなく、前後の調整を行うテレスコピックを備えるよう、10年ほど前から懇談の折などで要望してきた。しかし自動車メーカーからその意志は示されない。軽を主力とする自動車メーカーの社長に話しても、無反応であった。

 技術的によほど難しいのかと思ったが、マツダのロードスターは、現行車種が発売された後にテレスコピック機構を追加装備した。ということは、技術的問題ではないわけだ。考えられるのは、あとは原価しかない。原価削減のため、多くの被害者が後を絶たない状況にある。

 さまざまな体格の人に適応できる運転姿勢という根本を改善せず、電子機器に依存して車両価格を上げたり、後付けの電子機器で対応策をやっているかのように見せたりするのは、おためごかしといわざるをえない。そこに、国内自動車メーカーの欺瞞がある。人の命をないがしろにしてまで儲けを優先する自動車メーカーに失望している。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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