レーシングドライバーが指南! 娘が初めてクルマに乗る時に親がやるべき本当のこととは (1/2ページ)

日本とは運転免許取得方法もガラリと異なる

 新年度に加え新元号となり、記念すべき新しい年が始まった。大学への進学や就職など、新たな生活が始まった時期でもあり、なかには初めて自分の車を所有することになる若い人たちも多いのではないだろうか。今回はとくに娘が初めてクルマを持つことになった親御さんに向け、筆者なりの意見をまとめておきたいと思う。

 そういう我が家にも娘がひとりおり、5年前に都内の高校を卒業して渡米。アメリカの大学に進学した。あちらでの生活の初年度は寮生活なので生活上の不便はほとんどないようだったが、2年に進学すると寮を出てアパート暮らしをするようになる。そうなるとクルマがなければ生活が成り立たないのがアメリカ。そこでクルマを購入することになり、父親であるとともにクルマの専門家として選択を任されたのである。

 アメリカでは州にもよるが運転免許は16歳から取得可能。日本人も学生ビザがあれば取得できる。高卒の娘は18歳になっていたので年齢的には問題ない。だが免許取得には日本ではあり得ない試験制度が壁となった。娘の留学地域には教習所のような仕組みはなく、練習は自宅のクルマで空き地などで行うのが一般的。まわりが学生ばかりなのでクルマも借りられず教える人もいない。しかたなく筆者が渡米しトヨタ・カムリのレンタカーを借りて学内の広い駐車場で許可を得てアクセルとブレーキから教えた。

 試験当日は自分でクルマを用意して試験場まで誰かに運転してもらい、実技試験を公道で受けるという。練習しているときに娘のクセをある程度見抜き2〜3日で練習を終了したが、このとき行ったアドバイスは試験でとても役に立ったという。クルマの車幅感と路上の位置関係の見極め方や、車線の維持や車庫入れなどだが、とくに停止線手前で止まるときの位置把握感覚が不得意であるようだったので、集中的にアドバイスしたのだ。

 日本では教習所に通わせて法的試験に受かれば免許が交付され、あとは好きなクルマを買えばよいわけだが、アメリカでは本人の身近な人(通常は親御さん)が付き添い寄り添いながら免許取得からクルマ購入まで決めていくわけだ。日本だとセダンの教習車で練習し、購入するのはミニバンだったりするわけだが、それでは免許取得してからまた新たに感覚的な慣れを一般道でこなしていかなければならないから怖さも増すだろう。

 娘は練習で使用したカムリが運転しやすく慣れたので安心して運転できそうだと購入を希望したが、予算的に厳しいのでワンランク車格を下げ北米・カローラを購入させた。

 試験場で受験し合格すると直に免許が発行される。そのまま隣にあるトヨタのディーラーでカローラの新車を受け取り自分で運転して返ったという。日本では考えられないシステムだ。しかし帰宅後すぐに連絡があり「カローラの運転しやすさはカムリ以上で自分には丁度いい!」と大喜び。その後3年で6万キロ以上を乗り回したそうだ。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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