色味の違いや無駄な分割線を極力排除! 視覚的効果でも上質感を高めた新型MAZDA3の職人技 (2/2ページ)

微妙な白さの違いを可能な限り抑えて色味を揃えた

 そしてもうひとつ、視覚面でこだわって開発されたのが、イルミネーションだ。

 新型マツダ3の室内照明はすべて白色LED化されているが、部位ごとに照らすもの、つまり求められる明るさは異なり、部品サプライヤーも異なるため、色味は同じにはなりにくい。しかも、開発時に調査した結果、「人間は、白に関しては少し色味がずれてもわかる(福井さん)」ことが判明した。そのため、白色LEDの色の公差を従来の1/3に設定し、照明ごとの色味のバラつきを低減している。

 また明るさについても、「メーターをもっとも明るくして、センター側とドア側の照明を少し落とし、ステアリングやフォグランプなどのスイッチ、天井の照明はさらに落としている」。これは、「人間の目は、足もとの小石など障害物を見つけやすいよう、暗闇では周辺の方がより明るく感じるようできている」ことに合わせたもので、実際に全部の明るさを揃えてしまうと「周辺の光を煩わしく感じてしまい、目が明るさを絞ってしまう」のだという。

 ルームランプやスポットランプについても、「とくにバーガンディ内装のような赤系では光の質によって顕著に色がくすみやすい」ため、より正確かつ美しく見えるものを採用している。

 このほか、カップホルダーを前方へ移動することでアームレストを大型化しつつ、指先で押しても心地良く、かつ肘を置いても腕先まで均等に支持するよう触感を改善。スイッチ類はほぼすべてを見直し、ラバーで初期の滑らかさ、金属で深く押し込んだ時の硬質感が得られる、人間がもっとも快く感じる操作感で統一した。

 さらにはコマンダーダイヤルを左右スライド操作を廃止し回転とプッシュだけに絞り、ディスプレイに表示するGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)も文字の見やすさはそのままにグラフィックを高精細なものとして、脇見しやすい状況を減らしている。

 マツダの「クラフトマンシップ」、それは美しさと操作性、そして何より運転に集中しやすくしゼロ次安全性能を向上させることにこだわり抜いた、まさに「熟練の職人の技」なのだ。


遠藤正賢 ENDO MASAKATSU

自動車・業界ジャーナリスト/編集

愛車
ホンダS2000(2003年式)
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