国産メーカーのなかで圧倒的高評価! マツダ車がカッコいいデザインを手に入れられたワケ (1/2ページ)

生産現場とも開発段階から魂動デザインへの想いを共有した

 最近ではレクサスのスピンドルグリルやトヨタのキーンルック、日産のVモーショングリルなど共通のデザインを取り入れ、クラスを超えてアイデンティティを統一する動きが一般化しつつある。しかし、一部ではそういった共通のデザインになじめないユーザーもいるというのが現状だ。

 その一方で、デザインで高い評価を集めているのがマツダではないだろうか。2012年に登場した初代CX-5から採用されている「魂動デザイン」は、そのあとに登場したマツダ車すべて(OEM車を除く)に採用されており、先日発売された新型マツダ3も非常に高い評価を集めているのはご存じのとおりだ。

 そこで今回は、マツダの魂動デザインがどのように決まっているのかを実際にマツダ広報部に伺ってみた。

──そもそも「魂動デザイン」とは?

「われわれはクルマを単なる移動の道具だとは思っておらず、ドライバーとクルマの関係を、まるで愛馬と心を通わせるかのように、エモーショナルなものにするため、クルマに命を与える、魂を与えるという意味を込めた『魂動-Soul of Motion』というデザイン哲学を生み出しました。その表現手法は規定していませんが、以後どの商品も同じデザイン哲学を用いることで、車種ごとではなく商品群として一貫性を持たせてクルマの魅力を訴求する、ブランドデザインという視点でデザイン開発を行っています」。

──デザインをするプロセスで変化はあった?

「従来のクルマづくりでのデザイン具現化プロセスは大きくわけて、アイディアスケッチ→造形化→プロダクト化の3段階でしたが、これに対し魂動デザインでは、具体的なデザインに入る前段階で、匠の技や造形美を追求するための仕込み(アート活動)を時間と労力をかけて行うようになりました。そのことで、デザイナーはクルマの制約にとらわれずに発想でき、結果として商品(クルマ)のさらなるデザイン先鋭化に寄与しています」。

──魂動デザインを製品に落とし込む際の苦労は?

「魂動デザインを実際の商品(クルマ)で実現できたのは、デザイナーやモデラーたちだけの力ではなく、ものづくりに関わるあらゆるメンバーが一気通貫で取り組んだ成果でもあり、“つくり手全員が想いを共有すること”でした。いくらデザイナーやモデラーが造形に想いを込めても、それを金型で忠実に再現して量産できなければ意味がないと、金型を作る部門が主体的に、金型を作るものと同じ鉄で魂動オブジェを再現することにチャレンジ。デザイン部門と一緒になって生命感を感じさせる鉄製の魂動オブジェを作り上げました」。

「この活動を通し、魂動デザイン実現に向けた金型製作の課題を網羅的に発掘することができ、美の量産へ大きく寄与しました。また、従来は機密性の観点から、ごく一部の社員しか目にすることのできなかったデザインモデルを、開発の早い段階で開発・生産エンジニアたちに披露し、開発責任者やデザイナーの想いを伝えどうやったらこれが量産できるかを全員が一緒に自分事として考える『共創』の場を作りました。これが魂動デザインの高いレベルでの量産化につながっています」。


小鮒康一 KOBUNA KOICHI

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日産リーフ(2代目)/ユーノス ロードスター/マツダ・ロードスター(2代目) /ホンダS660/ホンダ・オデッセイ(初代)/ 日産パルサー(初代)
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好きな有名人
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