東京モーターショーは世界からみれば異色! クルマを売ってはいけないオートショーに未来はない (2/2ページ)

来場者数を増やすには日本も新車を売るべきだ

 バンコクモーターショーでは主催者サイドが会期中の新車販売台数を強く意識したり、中国では展示ブースにどれだけ契約したかを記す掲示板を掲げるメーカーも珍しくない。GIIASでは、車両紹介しているリーフレットや価格表はセールスマンが持っており、インフォメーションカウンターではまずもらうことができない。つまりクルマについて何か知りたければ、会場のセールスマンとコンタクトしなければならないのである。実際商談コーナーへ行くと、熱心に商談している風景を見ることができる。

 セールスマンしかいないオートショーもやや抵抗があるが、セールスマンがいないオートショーというのも、何が目的で開催しているのかわからない異様なオートショーに見える。

 今年の東京モーターショーはまさに“グダグダ”という表現がよく似合うものとなっている。会場となる東京ビッグサイトの一部が来年の東京オリンピックのプレスセンターに使われるとのことで、別会場を設ける“分散開催”となるなか、海外ブランドがほぼ参加しないという、およそ国際格式モーターショーとはいえないものとなっている。

 合理的な欧米人から見れば、“新車を売ってはいけないトレードショー”などはおよそ理解できない。前述したような“オートショー特別値引き”のような来場メリットがなければ、いまやクルマへの興味が薄れる一方なのだから、来場者が先細りするのも当たり前。となれば、海外ブランドが「それじゃ出なくてもいいか」となるのは自然の流れ。もっとも、もはや東京モーターショー会場で日本メーカーから得るべき新技術情報はほぼないというのも、海外ブランドが躊躇なく出展を控える背景にあるとも聞くが……。

 バブル経済のころのような、クルマ自体に多くのひとが興味を持ち、モーターショー会場を訪れることは今後期待できない。となれば来場するメリットというものを充実させることが必要だろう。

 チャットなどを通じて商談をすることで、新車購入商談などのためにディーラーを訪れる必要がなくなってきたアメリカでは、そのような買い方をより好む、若いひとが購入候補の“あたり”をつけるためにショー会場を訪れることが目立ってきているとのこと。ただそのようなニーズを満たすには、可能な限り市販車を多く会場に展示することが必要となるが、東京モーターショーはとにかく市販車展示も少なめなのが目立つ。

 出展をやめた海外ブランドが回帰する可能性は極めて低い。となれば空いたスペースで、軽自動車、登録車を問わず登録済み(届け出済み)未使用中古車の展示即売会を行うなど、抜本的な部分にまで踏み込んだショーのあり方を再検討するか、“勇気ある撤退”ではないが、東京モーターショー自体の開催終了なども考える時期にきているのではないかと考える。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

-

愛車
2019年式トヨタ・カローラ セダン S
趣味
乗りバス(路線バスに乗って小旅行すること)
好きな有名人
渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

新着情報