メイン市場だった欧州でさえ電動化シフト! それでもマツダと三菱がディーゼルに力を入れる理由とは (2/2ページ)

しかし急激な電動化シフトは難しい……

 日本市場におけるクリーンディーゼルはマツダが孤軍奮闘しているという印象も強いが、どっこい三菱も力を入れていることは忘れられない。三菱といえばアウトランダーPHEVによって電動化においてもトップランナーといえる存在だが、デリカD:5やエクリプスクロスに2.2リッターのクリーンディーゼルを搭載している。

 このディーゼルエンジンはNOx処理のために「尿素SCRシステム」を搭載しているのも特徴だ。もっともアドブルーと呼ばれる尿素水を使った後処理システム自体は、欧州ディーゼルでは珍しいものではないが、それでも国産の乗用ディーゼルとしては先を見越した環境対応技術を載せてきたという印象を受ける。つまり、三菱におけるクリーンディーゼルは一過性のものではなく、未来を託すパワートレインと考えることができる。

 内燃機関だけでは欧州のCO2規制をクリアできないのは事実だろうが、だからといって急激な電動化シフトは、それが急な方向転換ゆえに強い反動も考えられる。電動化一本に絞るのはリスクが大きいという見方もできる。マツダにしても電動化を完全否定しているわけではなく、三菱に至っては電動化とクリーンディーゼルの両面展開といえる。両社とも現実的な解を求めたときに、現時点ではディーゼルをラインアップすることが価値を生むと判断したのだろう。

 もっとも、クリーンディーゼルの開発には多大な予算が必要だったはずで、それだけの開発費を回収することを考えると、トレンドが電動化に向かったからといっておいそれとディーゼルを廃止にするというわけにはいかないことも影響しているかもしれないが……。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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