自動ドアはあるもののサービスは最高じゃない! 日本のタクシーのおもてなし度を世界基準で測る (2/2ページ)

海外のタクシーはトランクサービスも充実 日本以上の満足感!

 筆者の経験では地番整備が規則的なアメリカ、とくにニューヨークでは、空港での乗車時にホテルアドレスを告げると、その後は再確認せずにホテルの前にクルマをつけてくれる。上海や北京、広州といった中国の大都市や、ジャカルタ(インドネシア)、バンコク(タイ)でも、空港から乗るときにホテル名とアドレスを告げるだけで、当たり前のように連れて行ってくれる。場所がわからずマゴマゴしてしまうドライバーのほうが珍しいくらいである。

 インドネシアやベトナムでは、日本のタクシーサービス(きれいな車両、制服着用など)を見習っているので、日本のタクシーに乗っているか、それ以上の満足感を得ることができる。

 2020年の東京オリンピック開催へ向けさまざまな準備を進めているが、そのなかで筆者が懸念しているのが、日本のタクシーではトランクサービスが積極的に行われていないという点。海外ではチップがもらえるということもあり、よりチップを弾んでほしくてスーツケースなど大きな荷物のトランクへの出し入れはまずドライバーが行ってくれるのが基本。筆者本人が荷物を載せようとすると怒られることもあるぐらいだ。

 しかし日本ではタクシードライバーの高齢化が顕著なこともあるのか、筆者の経験では海外旅行用のトランクはまず筆者がトランクへ積んだり、降ろしたりしている。結構高齢のドライバーに、「腰に持病がある」などといわれれば、ついつい自分でやってしまうことになるだろう。日本を訪れる外国人にも同様にトランクサービスに消極的な姿勢を見せれば、“おもてなし日本”のイメージがとたんに崩れてしまわないか不安が残ってしまう。

 筆者がいままで利用したなかでは、ベトナムのホーチミンで乗った“ビナサン”という業界トップの会社のタクシーが印象的であった。シートにはカバーがかけられ、車両はトヨタのキジャンイノーバというミニバンで現行モデルがほとんど。ドライバーは制服を着用し、身ぎれいにしている。トランクサービスは完璧で、降車時には乗客が忘れものをしていないか、運転席から後ろを向いて後席を確認するという徹底ぶり。

 インドネシア最大手のブルーバードも車両はトヨタかホンダがほとんどで、最近はBYDの電気自動車まで導入している。おそろいの制服を着用し、スマホアプリでの配車サービスはおそらく翻訳機能がかませてあるのだろうが、自分のところへ向かっているドライバーと英語でチャットまですることができる。もちろんタクシーメーターも筆者の経験の範囲では間違いなく作動させ、メーター料金にチップを加えて払っていた。

 日本を訪れる外国人はタクシーの自動ドアのインパクトが強くて、実態以上にサービスが良いと思ってしまっている節もある。

 筆者が経験した範囲では、“地理(道路や地番の把握)”という面では日本よりも海外のタクシーのほうがドライバーはマスターしているレベルが高い印象を受ける。目的地まで安心・安全に送り届けるという、タクシーサービスの原点で見れば、ニューヨークやフランクフルトといった欧米のタクシーがよりプロフェッショナルに徹していた。新興国では全体で見れば怖い思いをしかねないというリスクはまだまだあるものの、多くの国々において大手や準大手レベルでは、日本のタクシーサービスというものをよく研究しており、日本のタクシーサービスが断トツにハイレベルともいえなくなっている。

 かくいう日本でも女性目線でいけば、まだまだ男性のようにひとりでホイホイと利用することができず、不安をいだくひとも多いと聞いている。タクシーを電話などで呼ぶときでも、自宅ではなく最寄りのコンビニなどへ迎えにきてもらうケースも多いようだ。

 新興国ではタクシーはぜいたくな乗り物であり、外国人や富裕層の日常の足にもなっているので、サービスの良さがホテルやショッピングモールなど、“より稼げる”場所での“着け待ち”がより可能となり、外国人や富裕層などの“上客”が期待できるということも大きく作用しているようだ。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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