日本のためじゃなかった! 昔は当たり前の左ハンドルの輸入車が激減したワケ (1/2ページ)

日本法人が増えてきたころから右ハンドル仕様が充実してきた

 1980年代までは輸入車といえば左ハンドルが当然という時代だった。欧州車においてはイギリス仕様が右ハンドルのため、限定的に右ハンドル仕様も日本に上陸していたが、左ハンドルに比べるとペダルレイアウトに違和感があるといった理由で、左ハンドルを好むオーナーが多かった記憶がある。

 そうした流れが変わってきたのは日本がバブル景気に沸いて、輸入車の販売台数が増えてきたあたりからだ。かつては日本の輸入代理店というのは商社が中心となっていたが、徐々に各メーカーの資本が入った現地法人が窓口となっていく。当然のように市場リサーチをすれば、左ハンドルを好む人よりも、左ハンドルだからと二の足を踏んでいるユーザーが多いことは明らかになる。

 主に趣味性の強い商品として輸入車を販売していた商社系の代理店から、欧州メーカーの息がかかった現地法人になれば、より数を売ることが求められることになる。そして、市場に受け入れられやすい右ハンドル仕様が充実してきたことで大衆車のカテゴリーでもシェアを広げ、輸入車全体の販売台数が増えてきたというのが大筋での流れだ。

 逆にプレミアムゾーンでは左ハンドルを好むユーザーも多く、スーパーカー系ブランドのモデル群は左ハンドルがメインの展開となっている。とはいえ、東京オートサロンに登場した新型シボレー・コルベットは、同モデルとして初めて右ハンドル仕様を設定、日本にも導入するという。

 ペダル配置におけるネガティブな声についても、スーパースポーツをはじめ欧州車の2ペダル化が進んでいくなかで、問題ではなくなりつつある。なにより、左側通行の日本においては右ハンドルのほうが、全般的に死角が少なく、安心して乗っていられるのも右ハンドルへのニーズを高めている。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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