トランプ政権は規制緩和の方向! いま注目されるアメリカのクルマの燃費規制「CAFE」とは (2/2ページ)

トランプ大統領はZEV規制の撤廃とCAFE規制の緩和を目指す

 80年代から2000年代、CAFEは段階的に強化されていった。そうしたなかで、大きな節目を迎えたのが2012年。当時、オバマ政権は再生可能エネルギーによるアメリカ企業の競争力強化と、海外からの投資を目的として、グリーンニューディール政策を打ち出した。その一環として、CAFEを一気に強化するとした。

 具体的には2025年までに、1ガロンあたり平均54.5マイル(リッター当たり23.2km)という厳しい目標値が定められた。そのため、自動車メーカー各社はハイブリッド車やプラグインハイブリッド車の拡充など躍起になった。

 当時、日系自動車メーカーのエンジン開発者の多くが「アメリカのCAFE、それから今後強化が予想される欧州のCO2規制をクリアすることは極めて難しい」との認識を持っていた。ところが、トランプ政権が誕生すると、オバマ政権が推奨してきたさまざな施策を転換するという動きが始まった。

 そのひとつが、CAFEの緩和と、連邦政府による燃費関連規制の一本化だ。アメリカではカリフォルニア州が発案し、1990年から施行されているZEV(ゼロエミッションビークル)規制がある。EVなど電動車の、事実上の台数規制(正確にはクレジット制)だ。世界の自動車メーカーが「ZEVありき」でEV開発を強いられてきた歴史がある。

 現状、アメリカには連邦政府の環境局EPAによるCAFE規制と、カリフォルニア州政府の環境局が主体のZEV規制という、燃費規制のダブルスタンダード状態にある。トランプ政権は2018年4月、EPAの声明として正式にオバマ政権でのCAFE規制目標値の撤回と、ZEV法の事実上の廃止による連邦政府による燃費規制の一本化を目指すと発表した。

 2020年は大統領選挙であり、さらに現時点では新型コロナウイルス感染がアメリカ経済に大きな打撃を与えている。そのため、新たなるCAFEに対する議論の詳細が表には出てきていない。まずは、次期大統領が決まる2020年11月を待つしかないようだ。


桃田健史 MOMOTA KENJI

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