この記事をまとめると
■アメリカでは「ウィンナーモービル」なるクルマが大人気だ
■シカゴの食品会社「オスカー・マイヤー」が90年以上前から運用している
■「ウィンナーモービル」のドライバーは人気職となっている
アメリカ名物「走るウィンナー」とは
全長8メートル、高さ3メートル。一見すると巨大なジョークに見えるこの「ウィンナーモービル」は、じつはV8エンジンを搭載し、ハイウェイを堂々と駆け抜ける”ガチ”な宣伝カー。1936年の誕生から進化を続け、現代ではGPSや最新の音響設備まで備えたこの“走るソーセージ”。しかし、その運転席に座れるのは、高倍率の難関を突破した若者だけだということをご存じでしょうか?
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そのクルマが街に現れるだけで、渋滞のなかに笑顔が広がり、大人たちが子どものように目を輝かせるというアメリカのアイコン、「ウィンナーモービル」。その実在はアメリカ人の誰もが知っていながら、実際に目撃できるのは非常にレアなことだそうです。そもそも、この突飛な宣伝カーは1936年、シカゴの食品会社「オスカー・マイヤー」が作ったもので、それから90年たったいまでも全米を走りまわっている名物的な存在です。当初はウィリスジープの車体などを使ってウィンナーの架装を施していたのですが、1969年からはシボレーやポンティアックなどがベースとなり、V6やV8搭載のマッスルウィンナーへと進化(笑)。
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1988年になると、オスカー・マイヤーはホットドッガープログラムという大学新卒者が全米各地および海外でウィンナーモービルの運転手として活躍するプログラムを開始。ウィンナーモービルのドライバーは「ホットドッガー」と呼ばれ、じつは全米屈指の人気職業。なにしろ、近年の応募総数は5000人を超え、その倍率はアイビーリーグ合格より難しいといわれるほど。
さらに、2004年に企画された「1日ドライブ権」の懸賞には、なんと1万5000人以上が殺到。なぜそこまで愛されるのかといえば、行く先々で老若男女から大歓迎を受けるから。ときには交通違反で止められても、警察官が「実物を見たかっただけ」とお目こぼししてくれるなど、冗談のようなエピソードも数多く伝わっています。
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もっとも、オスカー・マイヤー以外にも商品やトレードマークをトラックなどに架装した宣伝カーはたくさんあるはず。ですが、同社のすごいところは90年もの間、途切れることなく走らせ続けているところ。
もちろん、時代に応じてクルマは違えども、巨大なソーセージという目印は不変となれば、大人から子どもまでウケるのは必然というもの。
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実際、日本でも一時期プリマハムがウィンナーモービルを輸入して、宣伝カー「プリマウィンナー号」として活用していたのは有名な話。現在は三重工場にて静態保存されており、こちらもまた見学者があとを絶たないのだとか。
アメリカでは現在も8台のウィンナーモービルが稼働中で、このうち6台がフルサイズのファミリアモデルで2名のホットドッガーが操業、1台はフード・トラック仕様、そしてもう1台がミニをベースに巨大なウィンナーを載せたモデルとのこと。ちなみに、歴代ウィンナーモービルのナンバープレートも洒落ていて「YUMMY(おいしい)」をはじめ、「OURDOG(我等のホットドッグ)」「RELSHME(ホットドッグに薬味をのせて)」などが知られています。
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ウィンナーモービルは単なる宣伝カーを超え、もはや警察官も虜にする「平和の象徴」にほかなりません。ホットドッガーたちが運ぶのは、美味しいソーセージの香りだけでなく、誰もが童心に帰れる特別な時間でしょう。いつの日か、日本の街角にもこの巨大なホットドッグが現れ、道ゆく人々をあっと驚かせてくれる──。そんな、お腹も心も満たされる”美味しいハプニング”が訪れる日を、願わずにはいられません。