欧米に比べて自動車社会の急激な発展が一因! 海外では高齢者事故が大きな問題とならない理由 (2/2ページ)

免許所有者の急激な高齢化が要因のひとつ

 大きな要因は、日本の年齢分布と、免許人口の変化にある。

 日本は世界屈指の高齢化社会だ。この高齢化という言葉、正確には高齢化率が上がることを意味する。厚生労働省の予測によると、一般的に高齢者といわれる65歳以上の人口は2020年代から2050年頃まで4000万人弱でほぼ横ばいで、その後に微減となる。

 一方、15歳から64歳の人口は一気に減り、人口全体も減る。そのため、人口全体のなかで65歳以上の占める割合が一気に上がる。つまり、高齢化社会になっても、高齢者の数が大きく増えるのではない。

 問題は、免許所有者の高齢化だ。日本は60年代から70年代の高度経済成長期にまずは男性が運転免許を取得した。それから10年から20年の後に女性の免許取得者が増加した。

 高度経済成長期に免許を取った人たちが2000年代に入り高齢者となり、2010年代にはその数が一気に増えた。とくに、単独での交通事故を起こす割合が大きい75歳以上の免許所有は、2007年から2018年の11年間で約2倍と急激に増加している。

 世界最大自動車市場の中国でも、高齢者が問題視されているが、高度経済成長が始まったのは2000年代とまだ日が浅く、免許所有者の高齢化にはまだ直面していない。

 そのほか、まだ解明されていない、日本と欧米で高齢ドライバーが重大な交通事故を起こす医学的な要因があるのかもしれないが、日本での高齢ドライバー事故が目立つ大きな原因は、免許所有者の高齢化であることは間違いない。


桃田健史 MOMOTA KENJI

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