アクティブ派はなぜステーション・ワゴンを捨てSUVを選んだのか? (2/2ページ)

都市型SUVの登場からクロスオーバーSUVブームにつながった

 潮目が変わったのはトヨタが初代ハリアーをデビューさせた1997年だ。セルシオ(現在のレクサスLS)をイメージさせる2トーンボディのクロスオーバーSUVは、そのフロントに3.0リッターV6エンジンを搭載した上級グレードを用意していたのだ。これによりパフォーマンスの面でもそん色ない存在となった。

 そもそも乗用車系プラットフォームを使っているクロスオーバーSUVは、車高が高いというネガはあれど、ハンドリングなどではクロカン4WDよりもステーションワゴンに近い。スタイリッシュな都市型SUVとしてオンロードにマッチしたサスペンションセッティングとすることでステーションワゴンの特徴であった走りと積載性の両立というメリットのお株を奪うことができたのだ。

 さらにステーションワゴンよりも全高を高くとれるため、積載性でクロスオーバーSUVは上まわることもできた。ハンドリングについては重心の低いステーションワゴンが有利だったが、この手のカテゴリーを選ぶユーザーにとって重要なのは限界性能ではなく、積載能力であることは明らかで、都市型SUVが増えていくにつれてステーションワゴンが劣勢になったといえる。

 さらにキャンプブームが到来すると、SUVスタイルのメリットは際立っていった。常設キャンプ場であっても未舗装エリアに進入する際にはロードクリアランスがあったほうが有利である。その点でもクロスオーバーSUVの最低地上高は180mm~220mm程度となっているので安心だった。そうしたシチュエーションを走ることがごくたまにであっても、最低地上高の余裕があることは可能性を感じさせ、そこに魅力を感じるものだ。

 乗用プラットフォーム由来の舗装路でのハンドリング、ステーションワゴンを超える積載性、RVカテゴリーの中では燃費バランスに優れていること。こうした機能面での好バランスが、現在のクロスオーバーSUVブームにつながったといえる。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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