なぜトヨタばかり? 日産やホンダがタクシー車両に本格再参入しないワケ (2/2ページ)

多くのメーカーが参入するほどの市場規模ではない

 いまでもトヨタと、そしてかろうじて日産がタクシー向け営業車両のラインアップを続けているが、そのほかのメーカーが、トヨタや日産のような専用車両を投入してこないのはなぜだろうか? その背景にはスケールメリット、つまり販売台数が限られていることがある。

 タクシー車両については、いまでは各事業者で増車するということはまずない(いまの世の中の大変な状況下では、保有台数の半分も稼働していないことはザラ)。つまり、既存の保有車がリース期間満了などにより、一定期間使用したあとに入れ換えという形で新車が事業者に納められる。

 JPNタクシーでも、戦略的ともいえる月販目標台数としても1000台に設定しているぐらいなので、そもそもタクシー車両のマーケットは大きくないのである。JPNタクシーの価格が高いといわれるのも、市場規模が限られているなか、いまのところ汎用性のないLPガスハイブリッドエンジンを開発して搭載していることが大きいともいわれている。

 タクシーは、その車両サイズから「小型」、「中型」と分けられていたが、いまではそれが統合され「普通車」となっている地域が都市部を中心に目立つ。中型がクラウンコンフォートなのに対し、小型タクシー車両としてトヨタ・コンフォートが、かつてはラインアップされていた。そして、過去にはこの小型タクシー車両を、マツダや三菱などトヨタや日産以外のメーカーも用意していた。トヨタでもコロナ、日産ではブルーバードのタクシーは珍しいものではなかった。

 日産ではかつて小型タクシー向け車両としてクルーがラインアップされていた。マツダにはルーチェ系ベースのカスタムキャブという専用車があり、三菱では5代目ギャランベースのタクシー車両を10年以上ラインアップしていたこともあった。地方都市では、いまも日産クルータクシーが現役で走っているところもある。小型タクシーというカテゴリーでは、トヨタ一強ではなかったものと記憶している。

 しかしいまのように、事実上法人タクシー車両がトヨタのみとなったのは、車両の種別が統合されたのも大きく影響している。そして多くのメーカーが参入するほどの市場規模がないというのも現実である。

 過去においてもホンダ車のタクシー車両をほとんど見かけないのは、メーカーとしてタクシーだけではなく、ライトバンなど商用車全般も含んだラインアップに消極的なことも要因としてあった。なぜならばその消極姿勢が影響し、タクシーの現場では「乗用車に特化しており耐久性に問題がありそう」という先入観があったのだ。またホンダの販売現場では、フリート販売の体制がトヨタや日産だけでなく、マツダや三菱に比べても十分整っていないこともあるのではなかろうか。

「餅は餅屋」ではないが、新車販売市場が縮小の一途をたどるなかでは、長くタクシー向け車両のラインアップを続けてきたトヨタや日産以外は、製品だけでなく販売ルートも含めて国内だけの限定的な市場には対応できないというのもあるようだ。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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