「ニッポンは洗車天国」だけどそれでいい? アメリカやドイツで自由に洗車ができないワケ (2/2ページ)

洗車専門店やガソリンスタンドでの自動洗車機の利用を推奨

 また、洗車による水不足に対して、連邦政府として節水に関する定めもある。所管するのは、連邦環境局(EPA)だ。EPAの試算によると、自宅でクルマ1台を洗車するのに、約150リッターもの水を使うとしている。アメリカでは一家に複数台の乗用車を所有する場合も多く、洗車で使う水量も必然的に増える。また、近年アメリカ市場はセダンからよりボディの大きなSUVやクロスオーバーへの買い替え需要も増えていて、洗車の手間も水量も多くなりがちだ。

 ということで、EPAという連邦政府の正式な見解として、洗車はオーナー自らが自宅などで行うのではなく、アメリカでは数多く存在する洗車専門店でのプロフェッショナルサービス、またはガソリンスタンドでの自動洗車機を利用を正式に推奨しているのだ。

 さらに、エンジンまわりなどのオイル汚れを落としたり、強力なボディシャンプーなどを洗車時に自宅で行う事に対して、規制や条例がある地域もある。こうした洗車のケミカル関連については、連邦政府の労働省が所管する労働安全衛生局が対応している。

 洗車に対する環境や衛生への対応は、ドイツなど欧州でも地方自治体によって法律や条例がある場合があり、洗車できる場所、内容、時間などが定められている。欧州の場合、集合住宅で自宅用の専用駐車場がなく、路上駐車する地域が多いため、騒音問題への考慮も含めて公の場での洗車には制約が多いと感じる。

 このように、洗車ひとつするにも、社会との関係を深く考慮しなければならない国や地域では、結局「洗車は面倒だ」ということになり、洗車しない人が増えてしまう。

 それが社会常識になってしまい、滅多なことでは洗車はしないという慣習が、若い世代へと引き継がれていくのではないだろうか。


桃田健史 MOMOTA KENJI

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