「手放し運転」に「車外からのリモート駐車」! 無敵にみえる日産アリアの「あえてのバツ」と素直に「凄いところ」 (2/2ページ)

重量級ボディや電費、四輪制御技術にデメリットがありそうだ

 SUVということでボディが大きくなっているのでツッコミどころではないかもしれないが、バッテリーからモーターまで電動パワートレインを一新したというわりには電費がイマイチなのは残念ポイント。今回、日産はバッテリー総電力量のほかに使用可能電力量というスペックも発表している。小さいほうのバッテリーの使用可能電力量は63kWhで、FWDの航続可能距離はWLTCモードで450km。このスペックから電費を計算すると140Wh/kmとなる。現行リーフ(40kWh)のWLTCモード電費のカタログ値は155Wh/kmなので、車格が異なるとはいっても電費に進化が見られないのは残念ポイントだ。

 ちなみに、電費についてはkm/kWhという単位を使うこともあるが、アリアの90kWh仕様(使用可能電力量:87kWh)の航続可能距離はFWDで610kmというから、そこから計算すると7.0km/kWh。自分自身が普段乗りに使っている初代リーフの実電費は今月の平均値で7.9km/kWhとなっている。開発年次を考えると、さすがに10年前に生まれたBEVの実電費に追いつかないレベルというのはどうかと思う。

 おそらく、電費が期待ほど伸びていないのは、アリアがSUVスタイルで、バッテリーを多量に積んだことで車体が重くなっていることに起因しているのだろう。発表されている車両重量は1900~2200kgと、全長4.6m足らずのボディからするとかなり重いという印象だ。BEVは多量のバッテリーを積むため重くなるのは仕方がないと思うかもしれないが、自分の乗っている初代リーフの重量は車検証をみると1460kg。現行リーフのカタログ値も1490~1670kgとなっていることを考えると、軽量化という点ではあまり知見が投入されなかったのかもしれない。

 もっとも、補助金を考慮すると500万円からという内容を考えるとバーゲンプライスともいえる価格を実現しているようだから、高価な軽量パーツを使うことが難しかったということなのだろうが、現代の基準からすると軽量化を頑張ってほしいところだ。

 最後にうらやましいからこそ揚げ足を取りたくなるのがアリアの4WD車に採用される4輪制御技術「e-4ORCE」。前後に同等モーターを配することで、超ハイレスポンスの駆動力制御を行ない、重量を感じさせないパフォーマンスを実現しているというものだ。前後独立モーターによる駆動力と回生ブレーキを完全に個別にコントロールすることで姿勢制御にも活用するというアイディアだ。

 このシステム自体、期待が高まるばかりであるし、ケチをつける内容ではないのだが、「e-4ORCE」の説明において『前後のトルク配分は通常時は50:50、シーンに応じて0:100~100:0まで最適な配分に変更』という日産の説明にはちょっとだけ物言いをつけたい。トルク配分というが、エンジン車でのトルクスプリット4WDと異なり、前後モーターが独立しているのだから配分ではないはずだし、50:50の状態で出せるというマックストルク600N・m(90kWh仕様)は0:100のときには出せるはずはなく、前後いずれかのモーターだけで走っているときには一個のモーターで出せる最大トルク300N・mが上限となるはずだ。

 古いBEVに乗ってみる身で苦言を呈するのも生意気だとは思うが、モーター特性を体で感じるカーライフを送っているからこそ、トルク配分という言葉ではなく、前後モーターの発生トルクで制御を説明してほしいと思ってしまう。言葉尻を捕えているようだが、こうした表現だけで電動車の特性を理解していないのでは? と不信感を覚えてしまうのだ。

 いずれにしても、BEVオーナーとしてはアリアの走りを味わえる日が楽しみだ。だからこそ、細かい部分まで気になってしまうのだ。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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