「あえて」なのか「できない」のか? よく考えると「スポーツカー」には採用されない装備10選 (2/2ページ)

「便利すぎる装備は不要!」という硬派な主張の表れかもしれない

6)アンブレラホルダー

 軽自動車のスズキ・ワゴンR、ホンダN-WGNにある、リヤドア内側(ワゴンR)、後席シート下(N-WGN)、傘を収納するスペースもスポーツカーに絶対ないはずの装備だろう。そもそもスポーツカーは全高がベタベタに低く、2枚しかないドアも天地に薄いから、傘を立ててしまえるスペースなどあるはずもなし。

 とはいえ、スポーツカーでも雨の日にも走るし、傘を持って乗り込むケースはあるはず。折り畳み傘限定で、コンパクトに畳み、どこかに置いておくのがスポーツカー乗りの心得かもしれない。

7)後席スライド機構

 スポーツカーといっても、2シーターばかりではない。ポルシェ911が歴代そうであるように、2+2のスポーツカーもある。が、軽自動車やミニバンではおなじみのスライド機構はあるはずもない。スライド機構が必要なのは、車内のスペースに余裕があり、キャビンとラゲッジスペースがつながっていて、シートスライドによってラゲッジスペースの奥行を可変したいクルマ限定だ。

 しかも、もし付けたとしたら、シートスライドレール分の約6~7cm、シートが高くセットされることになる。そうなったら、確実に頭がつかえてしまう。スポーツカーとしては、2+2シーターでも絶対にありえない機能ということになる。

8)シートマッサージ機能

 かつてはVIPのための後席専用だったシートマッサージ機能は、今ではレクサスLSやボルボの上級車に前席用が用意されている。ドライブで疲れるのはドライバーだから、前席にこそあってほしい機能だが、スポーツカーの採用例はないに等しい。その理由を示すひとつの答えとして、ボルボの装備名称がある。マッサージではなく、「リラクゼーション機能」と呼んでいるのだ。そう、スポーツカーの運転席は、リラックスするためにあるのではない……というわけだ。

9)各種ハンズフリー機能

 高級SUVやミニバンには、バックドアの開閉や、スライドドアの開閉を足で行えるハンズフリー機能があって、両手がふさがっているとき、雨の日に傘をさしているときなど、素晴らしく便利だが、これもスポーツカーの流儀には合わない。便利すぎる機能など必要なし、というスポーツカーならではの硬派な主張の表れではないか。

10)フロントカメラ&レーダー

 ところで、スポーツカー乗りが欲しい! と思っても、付けたくても付けられない先進装備がある。それは、車高が極めて低いスポーツカーに限られるのだが、衝突軽減ブレーキやACC(アダプティブクルーズコントロール)などに必要なフロント(リヤ)カメラだ。

 ズバリ、価格2420万円~と超高価なホンダNSXという先進的なスポーツカー(全高1215mm)に付いていないのは、車高が低すぎて、カメラやレーダーを付けても、フロントウインドウ上端の位置的に、確実に前方を認識できないため、付けられないと説明される。ゆえに衝突軽減ブレーキ、ACCの設定は、ない。

 もっとも、全高1290~1295mmのトヨタ・スープラ、全高1235mmのマツダ・ロードスターなどには先進運転支援機能として衝突軽減ブレーキやACCが、今はスポーツカーだって当たり前!!とばかり、しっかり装備されているんですけどね……。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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