利点だった「荷室」や「後席」が狭い! 「本末転倒」感のあるデザイン優先の「SUV」が続々登場するワケ (1/2ページ)

開発陣が本当に作りたいクルマが作れる時代になったことも影響

 SUVというと、大人数でたくさんの荷物を積んで移動するというイメージが強い。スポーツ・ユーティリティ・ビークルという名称自体、そういった使い方が語源だ。

 しかし、最近のSUVは後席が狭いモデルも多く、デザインからして尻すぼみだったり、ファストバックのようなかなり傾斜したリヤゲートまわりとなっているなど、見るからに狭そうだ。実際に乗ってみると、頭ギリギリに天井が迫ってきていたり、乗り込むときもけっこう大変だったりする。ユーティリティどころではないが、なぜこのようなSUVが生まれてくるのだろうか? もちろん決定的なものはないものの、開発者のインタビューなどから浮かび上がってきた理由をまとめた。

1)裾野が広がった

 現在のSUVというのは、初代ハリアーやムラーノなどが切り開いた、いわゆるクロスオーバーと呼ばれるもの。つまり本来のクロカン派生のSUVをベースに、セダンやワゴン、スポーツカーなどのエッセンスをプラスしているのが特徴だ。つまりなんでもありといえばありで、さまざまな解釈がなされて、実際にさまざまなモデルが登場してきた。そのなかのひとつがクーペ的なもので、流麗なスタイルを取り入れるとなると、どうしてもパッケージングは犠牲になってしまう。

 当初はさすがに社内規定などもあり避けられてきたが、ここまでSUV人気が続き、売れるとなると、裾野はどんどんと広がっていくことになる。最近では後席が狭いけど、かっこいいからいいだろうといったモデルまで、裾野が到達してきたと言っていい。

 またトヨタでは、車種毎に分けられたカンパニー制を採用することで、最少限の意思決定でのクルマ作りを可能にしている。つまり昔なら会議や審査にかけて、どんどん平均化されてしまうところが、いまは作りたいクルマが作れるようになっているというのも影響しているだろう。


近藤暁史 KONDO AKIHUMI

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