ホンダの国内新車販売台数はトヨタに次ぐ2位! それでも喜べない「軽自動車依存」という悩み (2/2ページ)

このまま軽が売れ続ければ従来のホンダファンが離れる可能性も

 今は日産も軽自動車が好調に売れて国内販売の40%以上を占めるが、販売格差はホンダほど極端ではない。N-BOXが絶好調に売れたことで、ホンダのブランドイメージは軽自動車+フィット+フリードに偏り、「小さなクルマのメーカー」になりつつある。

 そして環境性能や自動運転技術への投資も増えたから、費用対効果が従来以上に問われ、選択と集中も進んだ。そうなると今の売れ方では「国内市場は軽自動車とコンパクトカーに任せれば良い」という判断を招く。商品開発にも偏りが生じて、スポーティなホンダが好きなユーザーにとっては辛い。

 ホンダの販売会社も、小さくて安価なクルマばかり売れるのは困る。店舗を見ても、スズキやダイハツのように、軽自動車が中心の販売で成り立つ作りにはなっていないからだ。

 小型車のヴェゼルは、国内で販売しやすいコンパクトSUVで、以前は好調に売れたのに今の登録台数は前年の半数程度だ。ステップワゴンも30〜40%のマイナスになっている。

 先ごろ軽自動車の新型N-ONEが披露されたが、今後は小型/普通車にも力を入れて売れ方のバランスを整えるべきだ。2011年に登場したN-BOXが好調に売れた背景には、優れたクルマ作りに加えて、「小型/普通車を中心に開発するホンダの手掛けた軽自動車」という商品イメージもあった。その結果、軽自動車でありながら、ホンダの出店が多い都市部でも好調に売れて人気車になった。

 軽自動車が国内販売の過半数を占める状態が続くと、ホンダのブランド力も影響を受ける。それは軽自動車の販売面にも、支障を来たしかねない。軽自動車を守るためにも、小型/普通車に力を入れるべきだ。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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