JPNタクシーの普及に暗雲! いま「シエンタ」や「カムリ」のタクシーが増えているワケ (1/2ページ)

地方ではJPNタクシーの価格がネックになっているという

 東京都内のタクシーは、トヨタのJPNタクシーが目立つようになった。しかし、東京のような状況は全国的に稀なケースといえるし、その東京都内ですらJPNタクシー以外のタクシーも多数走っている。このような状況になったのにはさまざまな要因はあるものの、一番はJPNタクシーの割高に見えてしまう価格設定が大きいようだ。

 そもそも、全国的に見ればクラウンコンフォートでさえ、新車で入れ替えることができなかったタクシー事業者が目立っていたのに、そのクラウンフォートよりさらに価格設定のアップしたJPNタクシーを、ホイホイと新車で導入できる事業者は限られているのが現状となっている(お試し程度で数台入れている事業者は多い)。

 JPNタクシーより、全国の事業者から熱い視線を浴びているのがシエンタベースのタクシーである。多くの事業者は2列シートのシエンタを購入し、LPガスも使えるバイフューエル仕様に改造するのだが、ハイブリッドのシエンタをバイフューエルに改造しても、JPNタクシーを買った場合と比べて、かなりの“お釣り”がくるほど割安で導入することができる。

 しかも、LPガスがなくなればガソリンで走行できるという“オマケ”までついてくるのである。都内大手のタクシー事業者が100台のシエンタタクシー導入を進めているのは、業界をよく知るひとの間ではトピックとなっている。

 また、JPNタクシーがLPガスハイブリッドエンジンを搭載していることから、従来のクラウンコンフォートやY31セドリックに比べ、飛躍的に燃費性能が改善。それはいいのだが、その影響で全国的にLPガススタンドの廃業に歯止めがかからなくなっていることも、JPNタクシー以外のタクシーを増やしている。

 地方ではLPガススタンド空白地帯も珍しくなく、大都市ほど走行距離も伸びないので、シエンタも含め、プリウスなどのガソリンハイブリッド車をそのまま使っている地域も増える一方である。ガソリンスタンド自体も全国的には廃業が相次いでいるので、今後中国メーカーの進出などが顕著となり、地方からタクシーの“EV(純電気自動車)化”が進むのではないかともいわれている。

 東京都内では準大手とされる、いわゆる“無線系”タクシー事業者などの間では、カムリタクシーが目立っている。ある事情通は、「カムリのエントリーモデルは348.5万円です。つまりJPNタクシーの上級モデルより価格が安いのです。LPガスも使えるバイフューエル仕様に改造しているケースは少ないようですので、あとは自動ドアを装着するだけなので、『セダン型でJPNタクシーより見栄えはいいし割安感が高い』ということになっているようです」と語る。

 バリアフリータクシーとして導入されたJPNタクシーは、車いすを使うひとなど、身体の不自由なひとの移動への負担を軽くするためには普及してほしいものであるが、やはり価格の高さがネックとなっているのは否定できない。さらに車いすでそのまま乗車できたり、スライドドアを採用し、背が高いぐらい以外は、乗客の定員が4名であることや、ラゲッジルームの使い勝手もクラウンコンフォートと変わらないので、「それならセダン型でもいいのでは?」ということになっても不思議ではない。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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