「安ウマ」の小型車だけじゃなかった! スズキの歴史に残る「スゴイ」技術4 (2/2ページ)

軽自動車の歴史に残るホットハッチに世界最速の二輪車も!

3)軽自動車初のDOHCターボ

 2代目アルトといえば、そのモデル後期に「アルトワークス」という稀代のホットハッチが生まれたことも忘れられない。1980年代、クルマ好きの間で「ターボか、ツインカムか」という論争があり、それぞれにファンがいた。そこでアルトもDOHCヘッドの「ツインカム12RS」とSOHCターボの「ターボSX」というグレードを用意していたが、その論争にけりをつけるべく1987年に登場したのが、ツインカムターボエンジンを積んだ「アルトワークス」だった。

 F5A DOHCターボエンジンのパフォーマンスは、それまでの軽自動車の常識を破るもので、その高回転までパワーが続くさまは、二輪メーカーだからこそといえるものだった。そして、いまに続く“軽自動車の64馬力規制”を生み出したのもアルトワークス。馬力の自主規制を生んでしまったことの功罪はあれど、64馬力というなんとも中途半端な数字は、初代アルトワークスのカタログスペックに由来するのは事実であり、軽自動車の歴史に残るホットハッチだ。

4)世界最速のバイク「HAYABUSA」

 ここまで軽自動車に採用されたテクノロジーを中心に3つをピックアップしてきたが、最後に紹介したいスズキの技術力を示すプロダクトは“世界最速の量産バイク”、そうご存知「隼―HAYABUSA―」だ。最高出力175馬力の1.3リッターエンジンを搭載したHAYABUSAが市販されたのは1999年。そのスピードメーターには350km/hまで刻まれていたが、実際に計測しても300km/hオーバーを実現した初めての量産車という称号を得ることに成功した。

 現在は、各メーカーのスーパースポーツには300km/hリミッターが装着されるようになっているので、ラインオフした状態での最速マシンというのは、リミッターに関する規制が変わらない限り、永遠にHAYABUSAのものなのである。また、そのパワフルなエンジンは多くのライトウェイトスポーツカーに流用されたことでも知られている。スズキのエンジンを世界のスポーツカービルダーがこぞって求めたのだ。日本でもフォーミュラ隼という、HAYABUSAのエンジンを使ったフォーミュラカーによるワンメイクレースが開催されたことも記憶に残る。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
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モトブログを作ること
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