2リッター以下は急に「小刻み」! 「1.2」「1.3」「1.4」などエンジン排気量が多数用意されるワケ (1/2ページ)

世界各国で税制が異なっていることも要因のひとつ

 国産、輸入車を問わず、エンジンの総排気量が2.0リッターを超えると500cc刻みで排気量違いを設定していることが多い印象がある。一方で、2.0リッター以下の小排気量エンジンになると100cc刻みで細かく設定される傾向にある。

 日本の自動車税は500cc刻みでの課税となっているので、1.0リッターの次は1.5リッター、その次は2.0リッターとしておけばいいように思えるが、1.2リッター、1.3リッター、1.4リッター、1.5リッター、1.6リッター、1.8リッター……とする必要性はあるのだろうか。

 まず、言えるのはグローバルにみると自動車課税というのは共通ではなく、各国で独自の税制になっているということだ。たとえば、中国や韓国では1.6リッターを境にして切り替わっているし、地域によっては1.4リッターということもある。また、ドイツではそもそも100cc刻みで課税額が変わってくる。つまり、どのエリアをメインターゲットにするかで、開発すべきエンジン排気量というのは変わってくるものだ。逆いうと、ある特定の排気量がグローバルにみて、税制的においしいということはなかったりする。

 なお、レシプロエンジンの構造からいってクランクシャフト(ストローク)を変えるよりピストン径(ボア)のほうが調整しやすい傾向にあり、かつてはボア違いで細かく排気量を設定することもあったが、最近は特定の排気量で作り込むことが増えている。それはシミュレーション技術が発達したことで、燃焼状態をきめ細かく設計することができるようになったからだ。ボアを変えると燃焼室の容積が変わるのはもちろん、火炎の広がり方も変わってしまう。そのため特定のボアで形状を作り込むのが近年のトレンドだ。具体的にはシリンダー容積を500cc前後として同じボア×ストロークで3気筒の1.5リッターエンジンと4気筒の2.0リッターエンジンを用意するというのが、ドイツ系メーカーでは増えている。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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