かつてさかんに言われた「石油の枯渇」が最近聞かれなくなったワケ (2/2ページ)

急激な人口増加が新たな問題を引き起こしている

 そして採掘の仕方によっては自然環境を破壊する恐れのある場合もあり、環境との調和が求められる。シエールオイルやガスの例では、水を多量に使うので水質汚染や、井戸水にガスが混入して蛇口を開けると発火するなどの事例も報告されている。またシエールガスは、天然ガスに比べ温室効果が強いとの研究もある。大気中に漏れ出さない配慮が求められる。

 18世紀の石炭にはじまり、石油や天然ガスによるエネルギー確保が20世紀までに進み、便利な生活を実現してきた。しかし、20世紀における人口の急増が、21世紀もなお続いて100億人に達するとの予測もあり、19世紀初頭に世界人口が10億人になるまで何千年もかかったにもかかわらず、急激な人口増加がエネルギーの使用量の大幅増をもたらし、排出ガスによって環境問題を引き起こしている。

 単に地下資源があるかないかではなく、排出ガスを出す地下資源に依存せずに十分なエネルギーを利用し、100億人に達しようかという人々が快適に暮らせる未来をいまから築いていかなければならない。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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