「クラウン」消滅の噂で「スカイライン」しかいない! 日本の上級セダン市場を支えられるのか?

スカイラインはまだまだ進化し支持される可能性がある!

 自動車産業界を駆け巡っている「次期クラウン、セダンからSUVへ」という“噂”。そのため「セダンの今後」を危ぶむ声が各ブランドの販売店やユーザーの間でちらほら聞こえるようになった。そうしたなか、日本で元気なセダンといえばスカイラインだ。車齢は長いが、このところ何かと話題に上ることが増えた。

 2019年には、高精度三次元地図やドライバーモニタリングシステムを活用して高速道路でのハンズオフを可能とした。これを日産は、自動運転技術「プロパイロット2.0」と呼ぶ。プロパイロットでは、2020年11月に発表し12月から発売される新型「ノート」でもカーナビデータと連携が採用されているが、「ノート」が200万円前半の販売量の多いマスマーケット向け商品であるため、コストパフォーマンスを重視しプロパイロット2.0は搭載していない。

 日産としては、新しいシンボル「アリア」登場までは、スカイラインが自動運転技術やコネクティビティ技術の面で、日産の企業イメージをしっかりと守っていく姿勢である。

 また、400Rもクオリティが高い走りを見せる。先日も改めて試乗してみたが、車齢の長い車体に対して“的確な改良”が施されており、走りの密度感が上がっているため、走ることがとても楽しかった。

 さらに、次期Z(Z35)にも搭載の可能性が高い、3リッターV6ツインターボのチューンドVRエンジンは、街乗り時のどっしりとした高級感と、ここ一番での爆発力とのバランスがいい。スカイライン、まだまだやれる。そんな印象を持った。

 近年のスカイラインの開発経緯を振り返ると、もっとも大きな驚きは2013年だった。日産が米カリフォルニア州ロサンゼルス郊外の特設施設に、世界中のメディアを招いた行った「日産360」での出来事。

 日産幹部がその当時アメリカでデビュー間のない「インフィニティQ50」を前に、「これが日本でスカイラインになったら、どう思うか?」と、問いかけてきた。その時点で筆者は同車の日本導入を確信したが「フロントマスクはどうするのか、インフィニティマーク部分をやり直すのか?」という疑問を日産幹部に投げかけた。

 その後、量産車では、インフィニティQ50とほぼ同じフォルムでスカイラインとなり、2019年のビックマイナーチェンジでGT-R顔となった。

 こうした一連の流れを見てきて思う。現行スカイラインは欧米でインフィニティとして確固たるブランド力があることが、日本市場向けでイメージ再生が可能だったのだ。

 次世代モデルでも、インフィニティとの融合のなかで、新たなるスカイラインの魅力を日本のユーザーに届けてほしい。ただし、以前のようなスカイラインクロスオーバー(インフィニティEX)という流れで、セダンとSUVが併存させる商品手法は、これからの日本市場では通用しないと思う。


桃田健史 MOMOTA KENJI

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