いま「連節バス」が増加中! 自動車メーカー多数の日本でも車両は「外資」頼みという残念な現状 (2/2ページ)

純国産の連節バスはまだまだ難しい……

 連節バスは監督官庁である国土交通省の特例措置を受けて運行しているので、その長さもあり走れる道路は限られている。また、あくまで連節(切り離せない)であり、けん引しているわけではないので、けん引免許は必要なく、大型二種免許があれば営業運行は可能となっている。

 そのため、たとえば横浜市営バスでは、運転士のなかから連節バスの運転について“志願者”を募り選抜し、営業運行開始に先立ち横浜市交通局内で運転研修を実施。そのなかですでに営業運行を実施していた福岡の西鉄グループの研修の様子を見学などしたとのことである。けん引免許は必要ないものの、一般的な路線バスとは勝手が違うので、事前研修は念入りに行われているようである。

 プレ運行をスタートさせている東京BRTでは、運行事業者は京成バスが設立した“東京BRT株式会社”となっている。すでに千葉県の幕張地域での連節バスの運行実績があるところが選ばれた理由のひとつともされているが、「まわりは都バスばかり走っているのに、東京都交通局が運行事業者ではないんだ?」との声はよく聞く。そもそもこのBRT計画は東京都都市整備局が基本計画をまとめたものなので、もっともといえる話。ただ詳細はわからないが、都の交通局に詳しい事情通に聞くと、「交通局の関係者は『別会社のことなので』、とことさら冷たい反応を示すので、『何があったのだろう?』と勘繰りたくなります」とは業界事情通。

 通勤・通学をメインに、公共輸送機関としてバス輸送に頼っている地域は多い。新型コロナウイルス拡大が続なかでは、車内混雑による“密”を防ぐ意味でも、今後も連節バスの導入は、走行可能な道路環境があれば普及は進んで行くことになるだろう。

 ただ、ようやく日本政府も“脱炭素社会”とか、“2030年代前半までにガソリン車の販売禁止”などをアピールするようになった。しかし、世界では一歩も二歩も進んでおり、街なかを走るバスのBEV(純電気バス)化が急速に進んでいる。しかし、日系ブランドのバスメーカーでは、単独でのBEV開発はほとんどアンタッチャブルに近い状態。その一方で、たとえばメルセデス・ベンツでは連節バスでもBEVバスがラインアップされているし、中国BYD製の連節BEVバスがカリフォルニア州ロサンゼルス郡の一部地域に導入されたとのニュースもある。

 一般的な路線バスでは、BYDだけでなく中国系では多くのバスメーカーがBEVバスをラインアップしており、欧州メーカーでも当たり前のようにある。さらに韓国ヒュンダイ自動車も積極的に海外展開をしている。政府の“脱ガソリン車”構想のなかにHEVも入っているようだが、世界ではHEVを外す動きもある。日本でもHEVが外されれば、路線バスは連節バスも含め一気に外資メーカー化する可能性は高いし、現状では外資に頼るしかないという状況になっているともいえる。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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愛車
2019年式トヨタ・カローラ セダン S
趣味
乗りバス(路線バスに乗って小旅行すること)
好きな有名人
渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

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