「遊び心」レベルの内容じゃない! なぜホンダはASIMOを開発したのか? (1/2ページ)

人間社会を豊かにするために誕生したロボティクス研究のひとつ

 2020年10月、ホンダのホームページに「ASIMO 20周年スペシャルサイト」が公開された。すでに開発終了の報が流れて久しいASIMOではあるが、ホンダのテクノロジーアイコンとしての価値はいまだ高く、実験室を飛び出して運用された歩行型ロボットとしての経験は、ほかを圧倒するレベルにあるのはかわらない。その20年の歴史のなかではバックパックの小型化、スピードアップ、コミュニケーション能力の向上、手話表現などさまざまなバージョンアップを果たしてきた。

 では、ASIMOが誕生した理由は何であろうか。前述した20周年記念サイトによれば『生活のなかで人の役に立ちたい、という想いから始まったロボティクス研究。その研究から生まれた』のがASIMOであると記されている。ASIMOにつながる二本足歩行のロボット開発の段階では、将来的に人が乗ることのできるロボット開発につながるのでは? と期待もあったが、あくまでも生活のなかで人を助けるパートナーロボットとして開発された。

 余談だが、ASIMOの前身となるロボット開発について「将来的にはガンダムのように人が乗れるサイズになりますか」と質問したところ「サイズは別として、わが社は兵器を作ることはありません」という旨の回答があったというエピソードもある。むしろ、アニメーション的な世界観でいえば、日本におけるロボットアニメのルーツともいえる鉄腕アトムを生み出そうとしたのかもしれない。

 そんなASIMOで開発されたテクノロジーは「歩行アシスト」ツール(2020年末で出荷停止になった)や、室内を移動するための動く椅子「UNI CUB」などホンダのロボティクス分野において水平展開されたというのはよく知られているところだが、それだけではない。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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