「脱・エンジン車」には「税制」の見直し必須! ディーゼルへの「減免措置」は不要か

揮発油税に消費税という二重課税など早期見直しを!

 新車購入時や車検での環境適合車への減税や免税措置が、本年度で一旦終了する。だが、4月からの来年度も延長される予定だ。対象車種や、適合車種の環境性能などが順次見直されていく予定ではあるが、自動車業界からの要請もあり、継続される見通しである。減税や免税されるのは、重量税だ。取得税は、消費税が10%となる際になくすことが決まっていた。したがって、自動車関連で残るのは、毎年支払う自動車税と、揮発油(ガソリン)税、軽油取引税である。

 消費者としては、減税や免税されるのであれば、どのような内容でも歓迎ということになるだろう。そして、これらの措置がすでに常態化し、販売店も営業促進策として重宝しているはずだ。

 しかし、減税や免税の目的が環境保全であるとするならば、より抜本的な措置が必要である。すでに、地球の平均気温は昨年最高を記録し、あわせて海水の温度が上昇している。なおかつ、海中の温度も高くなっているため、もはや近年起きている各地での甚大な自然災害は、もはや元へは戻らなくなったというのが私の感触だ。

 ならば、電気自動車(EV)を核としながらプラグインハイブリッド車(PHEV)への免税と減税を厚くし、ディーゼル車などへはもはや措置を撤回するのが本筋だ。EVやPHEVを持たないメーカーが苦戦するという業界内の調整があるのだろうが、これまで電動化に積極的でなかったメーカーは、他社からのハイブリッド車(HV)導入などしなければ、欧米での販売に苦慮する事態となっている。もはや手遅れであり、待ったなしの対応がメーカーの背後に迫っている。ここで半端な温情をすれば、事業の存続をはさらに危うくするだろう。

 税制面では、揮発油税に消費税をかけているという、税の抜本的な問題解決が急がれる。二重の税を支払わされていることに、消費者はもっと敏感であるべきだ。しかしこれも、EVにすれば燃料購入に際した税制の不備から脱却できるのだ。

 自動車税については、地方税の扱いである。財政の厳しい自治体には、減税や免税の措置は難しいだろう。しかし、カーシェアリングなどクルマの利用が所有から利用へ転換すれば、保有台数は減っていくので税収は大きく落ち込むことになる。

 それらの点を考慮すれば、自動車関連諸税全体を見直し、改革しなければ、税収を当てにする国や自治体さえも、将来的に財政難に陥ることになる。

 21世紀に入って、20年が過ぎた。20世紀となって20年を経た1920年前後にフォードのT型が普及することで、人の移動がいよいよ馬からクルマに大転換したのである。いまのわれわれも、21世紀に目指す新しい時代へ向けた大転換を受け入れ、そこからより快適でより安心な暮らしと移動を手に入れられる社会を築かなければならない。

 新型コロナウィルスの流行もまた、そうした意識の転換を求める人間への警告ではないだろうか。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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