いまどき冬タイヤはスタッドレスだけじゃない! オールシーズンを選んでいい人ダメな人 (1/2ページ)

氷雪路走行の絶対性能で優れるのはスタッドレスタイヤだが……

 今冬は、各地で想定外の大雪に見舞われ、道路交通にも大きな支障が生じていた。基本的なことだが、冬特有の積雪路、氷雪路、氷路を走るためには、こうした路面状況に適応した専用のタイヤが必要となる。一般的に冬タイヤ、あるいは冬タイヤの総称としてスタッドレスタイヤと呼ばれるものだ。

 実際、氷雪路を通常のタイヤ(夏タイヤ)で走ろうとしても、路面をグリップしないことから、走る、曲がる、止まるという、自動車が動くための基本3運動が低レベルでしか成立せず、物理的に走ることが不可能となってしまう。また、極端にグリップ力が低下する夏タイヤでの氷雪路走行がきわめて危険であることから、冬用タイヤを装着していなければ法的に通行できない道路も相当数存在する。

 こうした意味では、冬季、氷雪路での走行が想定されるドライバーは、冬用タイヤ(あるいは滑り止め=タイヤチェーン類)を用意しなければならないが、実際には、冬用タイヤといっても何タイプかが認定されている。基本的には、スタッドレス、スノー、マッド+スノー(マッド&スノー)といった区分だが、タイヤのサイドウォール部に、それぞれがどのタイプのタイヤであるかが記されている。逆に言えば、この表記があれば冬用として認められたタイヤ、冬季に使えるタイヤ、と判断することもできる。

 さて、これら冬タイヤの選択だが、シーズン中、雪と氷に覆われた北海道、東北、北陸や中部山岳地帯でクルマを使う人は、文句なく氷雪路専用設定のスタッドレスタイヤという選択肢になるが、問題はときおり降雪がある(かもしれない)、という地域で暮らす人の選択肢だ。言い替えれば、冬でも舗装路走行が主体だが、ときおり氷雪路を走ることが想定される人のタイヤ選びだ。

 言うまでもなく、氷雪路走行の絶対性能で言えば、もっとも優れるのはスタッドレスタイヤである。しかし、氷雪路(とくにアイスバーン)でもっとも高い性能を発揮できるタイヤであるだけに、ドライ舗装路の走りについてはマイナス要素も発生する。

 スタッドレスタイヤのリスクとは、氷雪路、とくにアイスバーンでのグリップ力を得るため、柔らかいゴム、タイヤ構造を採用したタイヤづくりが、路面μの高いドライ舗装路走行時には、トレッドゴムの急速な摩耗、損傷につながり、肝心のウインター性能が損なわれてしまうことが考えられる。氷雪路走行に備え、冬季スタッドレスタイヤを装着したものの、その大半は舗装路走行で、肝心の降雪の際にタイヤがベストな性能にないケースだ。


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