クルマのエンジンを全バラにする「オーバーホール」! 実施する必要があるのは「どんなとき」? (2/2ページ)

修理としてオーバーホールが必要になるケースもある

 もうひとつ、内視鏡を使った点検方法もあって、これでシリンダー内の傷の有無やピストンの頭頂部の具合などもチェックできる。こうしたチェックで異常がなければ、通常メンテナンスだけでまだまだ乗れると考えていい。

 もっと身近なところでいえば、エンジンオイルの減り具合にも注目。完調なエンジンでも、5000kmも走れば多少(数百cc)はオイルが減るものだが、1000km程度で1リッターもオイルが減るようなら、ピストンリングなどの寿命が考えられ、オーバーホールの時期を迎えたと判断できる。

 同様に暖気が終わっても、加速時にマフラーから白煙が出るようなクルマは、いわゆるオイル上がりあるいはオイル下がりを起こしているので、やはりオーバーホールのタイミングかもしれない(ターボ車は、タービンのトラブルの可能性も大)。

 あとは、思いっきりオーバーレブをしてしまった、タイミングベルトが切れてピストンとバルブがヒットした、オーバーヒートしてヘッドがゆがんだ、オイル管理が悪くてメタルが焼き付いた、水まわりの管理が悪くブロックにクラックが入った、といった場合は、修理という意味でオーバーホールが必要になる。

 ただ一口にオーバーホールといっても内容は千差万別で、洗浄してパッキン、ガスケット類を交換するだけというのもあれば、ピストン、ピストンリング、バルブ、バルブスプリング、メタル、ベアリング類の交換や、エンジンブロックのホーニング、ヘッドの面研、燃焼室の容積合わせ、ピストン、コンロッドの重量合わせ、クランク曲がり点検・調整、メタルクリアランス最適合わせといったところまで、徹底的に行う場合もある。

 エンジンを開けてみないと、どの部品が再利用できて、どの部品が要交換なのかわからない部分もあるので、予算はピンからキリまでいろいろある。

 それ以上に、オーバーホールは手作業なので、メカニックの経験とスキル、センスがものをいう世界。したがって、どこの誰に依頼するかが一番の問題。

 さらに純正部品の値上げや製造廃止のタイミングも関わってくるので、オーバーホールをいつおこなうのかはなかなか一筋縄ではいかないところ……。

 まずは信頼できるチューナー、メカニックを探して、現状をしっかり点検してもらい、その上で相談と、見積もりをお願いしてみてはどうだろうか。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)
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