「アウト・イン・アウト」の常識を覆す! 中谷明彦が生み出した「V字ライン」の衝撃 (2/2ページ)

- 名前:
- 中谷明彦
- 肩書き:
- レーシングドライバー/2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
- 現在の愛車:
- マツダCX-5 AWD
- 趣味:
- 海外巡り
- 好きな有名人:
- クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ
タグ: V字ライン, ドライビングテクニック, レース
それは、S字コーナーのクリップを直線的に取ると、そのまま第一ヘアピンのイン側に真っすぐ入って来られる。皆がアウトへ迂回しながらブレーキングしているのに対し、真っすぐ直線的にブレーキングできれば、より短い制動距離で減速できる、と考えた。出口加速も大事だが、だからといってターンインを攻めなくていいという論法はレースでは通用しないはず。
自身の次のレースで、それを試した。第一ヘアピンにインに直線的にアプローチし、瞬時に車速を落とし、小さく回り込んで真っすぐに立ち上がる。ブレーキング同様に加速でも旋回加速より真っすぐ直線的に加速するほうが効率がいいはずだ。
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それは外から見るとヘアピンコーナーを「V字」を描くように抜けていくように見え、「V字」コーナリングと呼ばれるようになったのだ。
FL-Bで実践し、ツーリングカーのミラージュカップやゴルフ・ポカールレースでも試し、優勝して効果を証明した。ヘアピンのイン側に真っすぐ飛び込むのはブロックラインにもなり、追い越しにも防御にも有効なのだ。
こうして立ち上がりだけでなく、アプローチも徹底的に攻め込むことで好成績を収めることができたのだ。
今では筑波サーキットでレースを闘うほとんどのレーサーが、この「V字ライン」で走っている。それはそれで、また1列になってしまい追い越しは難しくなるが、その「V字ライン」で走る前走車を攻略する走法も出来上がっている。中谷塾ではそれを「レース攻略法」として伝授しているのだ。