レーシングドライバーがレジェンドの「手放し」「よそ見」自動運転を体験! 賞賛ポイントとホンダへの提言 (1/2ページ)

50km/hを下回ったときのレベル3状態への以降はスムース

 SIP-adus自動運転実証実験プロジェクト試乗会が東京のお台場地区で開催され、その会場を発着点としてレベル3の自動運転を可能とした「ホンダセンシングエリート」を装備する新型ホンダ・レジェンドに試乗してきた。

 SIPとは2014年に内閣府が始めた戦略的イノベーション創造プログラムで、産官学が協調して自動運転システムの構築を進めている取り組みだ。adusは「AutomatedDriving for UniversalService」の略で、SIP-adusとすることで安全性や運転支援技術の高度化に加えて、ユニバーサルな移動手段としての自動走行システムを目指す活動とされている。

 ホンダもそのメンバーに属し、そのなかでレベル3の自動運転システムを世界で初めて搭載し市販したとして会場を賑わせていた。

 じつは令和3年4月1日に施行された新道路交通法により、自動運転中にドライバーはハンドルから手を離してナビゲーション画面を見るといった、一般車では禁じられている行為が許されることになった。ただし、レベル3の自動運転システムが稼働するのは60km/h以下の渋滞路に限られ、レジェンドのホンダセンシングエリートでは余裕を持たせるために50km/hでの作動と制限を強化している。

 簡単なレクチャーを受け、運転席に乗り込み一般道へ出る。50km/hの渋滞路でないと作動しないため、交通情報から渋滞エリアを特定し、そちらを目指した。

 高速道路に乗り入れ、ステアリング上のホンダセンシングエリートのスイッチを押す。そして渋滞追従機能付アダプティブクルーズコントロール(ACC)を作動させると、その時点の設定速度でACC走行を始める。少しの間を置いてLKA(車線維持支援システム)が車線を読み取りアシストを開始。緑の車線表示がメーター内に示される。

 さらに2車線以上の車線を読み込み、ハンズオフ条件が揃うと緑の車線表示が青に変わり、ハンズオフ(手放し)運転が可能になる。従来のレベル2ではドライバーは両手をハンドル上に据え置く必要があったが、ハンズオフ作動時は直ちにステアリング操作に復帰できることを条件に手の位置は自由になっている。また前方に低速車両が迫ると、車線変更して追い越し、また元の車線に戻るまでを全自動で行ってくれる。ウインカーを約1秒軽く操作して車線変更をドライバーが意図して装置に行わせることも可能だ。

 青表示のACC走行中に渋滞の後尾に位置し50km/h以下となると「トラフィックジャムパイロット(渋滞運転機能)」が作動し、ドライバーは視線をナビゲーションモニターなどに移すこともでき、リラックスできる。

 ナビゲーションモニターの左上辺りにドライバーの目線を確認するカメラが備えられていて、目を閉じたり、居眠りしていたり、長時間外を眺めていたりするとアラームが発出される。初めは警告表示がメーター画面に出て、ステアリングスポークに埋め込まれた警告灯がオレンジに点滅する。それでもドライバーが復帰しないとベルトテンショナーで締め付け振動を発出し、それでダメならハザードを点灯させて路側帯あるいは走行車線上に緊急停止するという。今回それは試さなかったが、じつにうまく機能させられていると実感できた。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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